【白猫】に似た銀弾の話。
「けほっ、こほっ、こほっ…」
深夜。
聞こえてきた小さな咳にホワイトバックは飛び起きた。
「だいじょうぶ?チビ」
「ぅ、う…だ、だいじょうぶ…」
「うそつき」
暗い部屋の中でも分かるほどにホワイトバックの腕の中にいるそのウマ-シルバーバレットは苦しそうだった。
風邪がぶり返したのだろう。
熱もひどいようで顔が赤いし息も荒い。
しかしそんな状態でもシルバーバレットは「だいじょうぶ」と言い募る。
「だめだよ。お薬飲んで…それに体も拭こうか」
「で、でも……」
「いいから。ほら、行こう」
渋々といった様子ではあったが大人しく腕の中に収まったシルバーバレットをそのままに、ホワイトバックはタオルと着替えを用意するために一度部屋の外に出た。
「…」
「大丈夫?」
「ん……ごめんなさい……」
「謝ることじゃないヨ」
布団の上で寝間着を脱いだシルバーバレットを後ろから抱きしめながら、ホワイトバックはその体を丁寧に拭いてやる。
いつもなら自分で出来る!と暴れるところだが今日ばかりは何も言わずされるがままになっていた。
シルバーバレットは体が弱い。
かつてホワイトバックの妻であった彼女と同等か、それ以上に。
立てば咳込み、座れば寝込み、歩く姿は幽体離脱。
まるで病気の神に見初められたかのような子だったがそれでもホワイトバック含め家族は懸命な治療に当たっている。
がしかし。
「こんどこそ、こんどこそ…」
その中でもホワイトバックの過保護具合は群を抜いていた。
自身の孫であり、…若くして儚くなった自身の妻と似ているシルバーバレットが弱っている姿を見て、何も思わないわけがないのだ。
だからこそこんなにも必死になって看病しているのだが……。
「はい、終わったよ」
「ありがと……」
「どうしたノ?どこか痛む?」
「……ごめん、なさぃ」
体が弱くて、ごめんなさい。
ポロポロと泣き出す本人にとっては生まれてこの方の現状が大好きな祖父をずっと自分のそばに拘束してしまっているのに等しく。
かわいい盛りの弟妹たちとろくに交流を持てていない祖父に対しての申し訳なさが…。
「ぼくよりも、みんなの方に……」
「……そうだねェ」
ホワイトバックの手が優しく頭を撫でてくれる。
それが嬉しくもあり辛くもあるシルバーバレットは涙を止められなかった。
「じゃあ、朝になったらみんなに来てもらう?」
「……いいの?」
「ウン。みんなもチビに会いたい会いたいって言って聞かないからねェ…」
「そ、か」
「ほら、おやすみ」
「ん…」
僕:
シルバーバレット(病弱に輪をかけた病弱時空のすがた)。
いつもケホケホゼェゼェしている。
だいたい祖母である【白猫】と同じ理由でこうなっている。
世界のバグを今度こそ稼働させないぞ!→大幅弱体的な。
なので走るなんて夢のまた夢。
それに熱を出すのがしょっちゅうなので日中ほぼ起きていられなかったりする。
【先祖返り】:
ホワイトバック。
おじーちゃん。
かつての妻のように病弱な孫に付きっきり。
たぶん贖罪の面もあるにはある。
ちな高熱などで僕にタヒに体になられるとトラウマスイッチががが…。