さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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飼い主どっち?



可愛い愛玩

『可愛いネコを飼ってるんです。アタシ、お恥ずかしながら結構適当でして自分ひとりだったらダラーってしちゃうんですよ。でもその子がいたら規則正しい子ですから自ずと一緒にご飯食べたりして…規則正しい生活になってるんです』

 

 

「……"可愛いネコ"、ねぇ?」

「可愛いでしょ?」

「どうだか」

 

ブツ、と電源が切られて。

あとに残るのは静謐。

そこそこのお値段のマンションで暮らし。

気がつけば、どこか飼い主とペットのような関係性となっている現状。

 

「…どっちかというと、キミの方がそうだろう」

 

呟きを漏らすも、返事はない。

ただ、静かに膝の上に乗せられ、抱き締められるばかりである。

 

…このような暮らしを始めて随分と。

学園卒業後、あっちへフラフラこっちへフラフラ、自由に世界中を飛び回るこのウマを心配し、同居を持ちかけたのは自分で。

『このウマは帰る場所がないと糸の切れた凧のようにどこかへ行ってしまうかも』と不安に駆られた結果であったのだが……。

今ではすっかり定住しており、

 

「…なぁ、」

「んー?」

「キミ、またどこかに行く予定は?」

「別に?」

「そっか……」

「うん」

 

こんな感じになっている。

 

「…………」

「どうしたのさ?そんな顔して」

「いや、なんでもないよ」

「ふぅん?」

 

首を傾げられつつ、頭を撫でられて。

その心地良さにゆるりと眦をゆるめれば、横目に入った口元は微笑んで。

そして、口を開くのだ。

 

「キミの傍にいた方が、ずっとずっと楽しいから」

 

なんてことを。

さらっと口にされたのに思わず目を剥くものの、朗々と役者が台詞を語るがごとく、話は続く。

 

「ほら、アタシたちもういい歳だし。何らかの事故とかに遭ってキミひとり…ってのを考えて…。だから、ね?」

「…へぇ」

「嫌?」

「いっ、イヤではないけど!」

「じゃあいいでしょ!それに、キミだってアタシのこと好きだし?」

「それは…まぁ、そうじゃなきゃ幾ら気心のしれた友人とはいえ、こんな何年も暮らさないよ」

「ほら」

 

得意気に胸を張る同居人(背もたれ)に苦笑するしかない。

確かに、キミのことは好きだけれども。

しかし、それとこれとは話が別であって。

 

「キミ、『自由』が好きなんだろう」

「それがどうかした?」

「どうしたもこうしたも!」

「どうして?」

「えっ!?」

「どうしてダメなのかなって思って」

 

きょとんとした表情を浮かべられる。

まるでこちらの考えがわかっているような態度なのに。

はぁ、とため息ひとつこぼせば、「幸せ逃げるぞ~」とのんびり返されて。

 

「言ったでしょ。───キミといる方が、」

 

ずっと楽しい、って。

 





僕:
シルバーバレット。
放浪癖のあるCBの帰る場所になった。
大抵はそこそこお高いマンションにて家のことをしている。
別に働かなくても現役時代に稼いだ賞金資産運用してたら黄金律()しちゃったし。
CBが行きたいなら何処でも行ってもらっていいけど…するが本人の気付かぬ内心としては…?

CB:
ミスターシービー。
学園卒業後あちらこちらに放浪し、時々帰ってくる…みたいな生活をしていたところ、その生活を心配した僕と暮らすことに。
当初は『僕が家の面倒見てくれるから楽だな〜』という感じだったが徐々に…。
なお今現在は時々メディアに出ながら僕と静かに暮らしている。
どこに行ってもいいんだよ、と僕に言われはするが…?
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