さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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忘れられない限り、そこにいる。



遠くなれども、待っている

その日、そのウマがその影を見つけたのは単なる偶然であった。

言うなれば、『目に付いた』から。

昨今見かけないくらいに、どっちかというとレトロ風とか、そういう風に見られる古い服装に身を包み、これまた古いタイプの靴(それもURAの博物館で展示されてもおかしくないぐらいの!)を履いているとなれば興味をそそられるのも無理はない(が、靴に関しては復刻とかそういうやつだろう…多分)。

…などと半ば不躾に観察してしまっていると、

 

「こんにちは」

「あ、は、はい」

「すみません、ここってどこですかね?如何せんこういうところまで出てきたのが久しぶりで」

「あ、あぁ…」

 

言葉は標準に近いがイントネーションが聞いたことのないものなので遠くから出てきた人なのだろうか?と推測する。

しかしまぁ、そんなことよりも気になることがあるわけだが……。

 

「あの、失礼かもしれませんけどおいくつですか?」

「えっ!?あーっと…………××歳かな?」

 

なんとも曖昧な返事である。

見た目も、雰囲気からしてみても年齢がどれぐらいか分からないのだ。

けれど。

 

「もし良ければ、案内してくれないかい?…キミ、なんか僕の友だちに似てるんだよねぇ」

 

 

それから。

URAの博物館に行くことになり。

「ここに来るのがいちばん分かりやすいっちゃ分かりやすいんだよなぁ」という言葉に少々首を傾げたりもしたのだが。

その道中で。

例えば、何をしている人なのかだとか。

例えば、好きなものは何だとか。

例えば…。

 

「それは、───キミも

 

よく知って、いるだろう?

 

こてん、と首を傾げて笑う。

その顔は逆光に照らされて、見えない。

思わず肌がチリッ、とするのを感じ、ジリ…と後退りした自身の脚に信じられない気持ちになる。

おいおい、これでも自分はG1バだぞ?なんて。

自分よりもずっと身長の低い目の前のウマに、まるで見下ろされているかのような感覚。

そして、本能的に悟った。

()()()()()()()

自分の手に負えるような存在ではない、と。

 

 

ふんふん、と鼻歌を鳴らしながら小柄なウマが街を行く。

道行く誰もと釣り合わない服装をしながらも誰もがそのウマに目を向けることはない。

 

(まさか、これだけ時間が経ってもまだ僕がレコードホルダーとはなぁ)

 

頭の後ろで手を組んで、軽快に歩く。

 

(…お?)

 

して、足を止めたその先。

その先にある、街頭の大きいディスプレイには…。

 

(今回は、どうなんだろうね?)

 

そのウマにとって、馴染み深いレースの名前が壮大なBGMと共に…。





"誰か":
時代にそぐわない昔懐かし…というよりレトロな格好をしているウマ。
だがほぼほぼの人の目には入らず、基本好き勝手しているとか。
本人曰く、自分が視える人のは何らかの繋がりがあるか波長が合うかしてるとのこと。
URAの博物館に行くのが好き。
それと自分に声をかけてくれた相手の父母の名前も必ず聞くようだ。

───はやく、僕のこと、


超えて、くれないかなぁ…?

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