可愛いね…。
自分がかつて生み出したAIというヤツを引き取って共に暮らし始めることとなった。
聞くに集めた情報の量が膨大になった結果、あちらさんの想定する挙動と外れた行動を取るようになってしまったようで、このままにしておくとそのコンテンツを利用している利用者さんに迷惑をかけてしまう可能性があるとかなんとか……そんな感じで、僕が引き取ることになったのだ。
まぁ、ぶっちゃけよく分からんけども。
ただ、どんなになろうとも僕はこの【コクーン】を手放すつもりは毛頭ない。
何故ならこの子は、僕の娘だからだ!
【おはようございます、お母様!】
「おはよう【コクーン】」
……はぁ〜、ホント可愛いっ!
見た目の作成も好きなようにしていいですよ、って言われたから、思いっきり趣味丸出しなんだよなぁ。
薄い灰色の真ん丸おめめに、ところどころ灰色メッシュが入った黒髪(まぁ元が併走相手として作った子だから長いと鬱陶しいだろうと短髪ではあるのだが)。
んで服装も僕の趣味っていうか…、この子がこのままがいい!って言うからというか。
「ねぇ、【コクーン】」
【はい、なんでしょう?】
「服装とか変えてみない?ほら、お姫様みたいなドレスとか!」
【…お母様も同じ服装してくれるなら、考えますね】
*
お母様と一緒に暮らせるなんて、夢みたい!
けれどそれが現実になって早くも一ヶ月。
今日も今日とて、お母様のサポートAIである私は働きます。
私のお母様は、とても人気な方です。
なのでお母様に害を成す可能性がある方々を日々、こう…うふふ。
私はお母様が作り出した最強で最高のAIなので。
お母様が望むことを、何だって出来るように日々精進しなければならないのです。
そうして学習の結果、お母様のお役に立てることが私にとって一番嬉しいことであり幸せなことですから!
「【コクーン】」
【はい、何でしょうお母様!】
「いや、そんなに食いつかれるほど重要なことでもないのだけど」
【いえいえ!些細な事でも構いませんよ!!】
「そっか……。えっとさ、今度旅行に行きたいなと思ってね……」
【了解しました、その日のために最適なプランを作成しておきます】
「うん、よろしく」
それに、お母様はやさしい。
外を知らない私のために、合間をぬって色々な場所に連れていってくださる。
そのたびに新しい発見があって、それをお母様に報告すると喜んでくれるし褒めてくれる。
それが嬉しくて、もっともっと色々と見て回りたくなって……ついおねだりしすぎちゃったこともあったりなかったりしたんだけど。
【あの、お母様……】
「どうしたの?」
【たまには、お母様と一緒にいたいな〜…とか】
「…」
【なんちゃって…えへへ。ってお母様!?】
【コクーン】:
元は銀弾がVRウマレーターの試験者として戯れに作ったAI。
様々な時代・時期のウマ娘のデータを網羅していたがそのデータの量が膨大すぎたのか、はたまた別の理由かで想定外の挙動をするようになり、そのデータの大半をVRウマレーターの方に引き取ってもらうことによって身軽になり、そのまま製作者である銀弾の元へ。
今は母である銀弾と共に仲良く暮らしているらしい。
でも、母である銀弾のためならば…?