さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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【戦う者】L'Arcシナリオローテ時空での、いつか見た『夢』。



夢のVS

思い出を重ね合わせた。

舞台はパリロンシャン2400m。

 

もしも、その『夢』が叶うなら。

 

1990 ジャパンカップ

1991 凱旋門賞

 

今もなお超えられぬ、

無敵の弾丸。

 

「強い強い強い!これはもう、日本も、世界も

届かない!!」

 

シルバーバレット(Silver Bullet)

 

 

1995 凱旋門賞 ジャパンカップ

1996 凱旋門賞

 

その背を追った、

世界最強。

 

「強いーッ!!世界に、この馬を止めるものはもう

いないのか!?」

 

サンデースクラッパ(Sunday Scrapper)

 

そんな『奇跡』。

その、勝者は。

 

「シルバーバレット先頭シルバーバレット先頭!」

「だが内からサンデースクラッパ来た!並ぶか!

並ぶのか!?」

「シルバーバレット逃げる!

サンデースクラッパ来た来た並んだ!!

残りあとわずか!どっちだ!どっちだ!?

どっちだぁあああ!?!?!?」

 

消えない思い出が、また1ページ。

 

───────

─────

───

 

目を開けると、どこか見覚えのある場所にいた。

はて、どこだったかしら?と首を傾げてみると、なんとまぁ…遠い昔によく着ていた勝負服を纏っているではないか!

そしてよくよく体を動かしてみれば、まるでこの勝負服を着ていた頃、いやそれ以上に体が動く!

 

「これは……夢、なのかな?」

 

そう呟くと、目の前に突然人影が現れた。

その影は僕を見やるとフイと指し示すように顎を動かす。

 

───()るんでしょう?

 

ただひと言、漏らされた言葉はそのひと言のみであったはずなのに僕の体を容易く射抜いた。

瞬間、湧き上がってくるのは遠に凪いだと思っていた闘争心。

…あぁ、そうか。

 

ここは、自分とかの人影のために誂られた場所だと気づくまで、そう時間はかからなかった。

なにせ他の出走者や観客がいようともどうにも作りものの感が拭えず、しかし僕と相手との間にある闘争心()は…ホンモノで。

 

「うん、そうだね。()ろう」

 

僕がそう応えると人影は満足げに頷き、そして消えた。

僕は改めて前を向き、ゲートへと足を進める。

……この先に待つのはきっと『奇跡』だ。

だから僕はその奇跡に敬意を表してこう言おう。

 

あなたと()れることに感謝を。

 

「ねぇ、──シルバーバレット(兄さん)?」

 

 

夢か、(うつつ)か。

どちらかは定かではないが、望まれたことは…確かだった。

望まれた、夢のVS(対決)

相見えたふたり揃って、遠に過去の遺物であるけれど。

それでも。それでも、と。

…それはそれとして。

 

「あなたは、どちらが勝つと言うんだろうね」

 

────ねぇ、騎手くん?





同厩舎、同勝負服、同鞍上での夢の対決。
タイトル獲得数としては【戦う者(おとうと)】が勝っている
けど、残した記録としては【最速の蹂躙者(あに)】の方がという。
互いに当時見てた人の脳を焼いてるからね。
こりゃあ論争すごそうな兄弟だこって…。
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