さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ゆえに。



かの"影"と似ている

ひょんなことから先生の御実家にお邪魔することとなった。

ドキドキしながら先生のご両親に挨拶する。

 

「は、はじめまして!先生の担当バであるシルバーバレットと言います!先生にはいつもお世話になっております!!」

「バレット、そんなにかしこまらなくても…」

「ダメです!先生にはホントに…」

 

ブォンッ!と勢いよく頭を下げた僕に先生が苦笑いを浮かべる。

そして僕は顔を上げて……、

 

「…。……?」

 

すごく、先生のお父様に凝視されている現状にちょっとおののく。

なんだろう?何か変だったかなぁ?

もしかして失礼なことしちゃったかも……!?

どうしよう……。

 

「……」

 

うぅ~ん……。

思い返してみても特段何かやったという記憶は、

 

 

「父さん、バレットが怖がってるから」

 

なんて考えていると先生が助け舟を出してくれ。

そこから時間も時間だからと先生のお母さんが夕食をご馳走してくれて…。

 

 

中央でトレーナーとなった長男坊が担当バを連れ帰ってきた。

血筋特有の"ウマ狂い"のために連絡をなかなか取ってこない息子が久しぶり帰ってきたと思えば…。

 

「……」

 

そのウマを見た時、瞬間"かつて"を思い出した。

"かつて"、中央トレセンでチームを持っていた頃。

チームの統括でありながら自らの足でスカウトに赴いていた自身が見つけた一等の原石。

 

(ホワイト、キティ…?)

 

口の中でその単語をくるりと回す。

一目見ただけでどこまでも行けるような気がした。

地の果てまで駆け、空も縦横無尽に飛び回るかのような。

"かつて"見た、そんな才能を。

────幻視した。

 

「羨ましい、なぁ…」

 

ふと、口をついて出た言葉は紛れもない自分の本心。

自分は、ホワイトキティ(自分の見出した才能)を育てることが出来なかった。

生来よりの病弱なのだといったそのウマは立ち上がることすら難しいまでに虚弱だったから。

それでも諦めきれなかった自分は、せめてもの願いとして『いつか必ず』と名刺と推薦書を渡し。

あれだけ輝いていた彼女の走りを見ることが叶わないまま…トレーナーを引退した。

 

「いいなぁ」

 

また見られるとは思わなかった目を焼くほどにギラギラとした輝きを、思い出す。

あの子たちはきっと自分なんかよりもずっと先へ進めるはずだ。

……ああ、でも。

もし許されるなら。

その走りに、教示してみたい。

そうすれば、やっと。

輝く姿をこの目に焼き付けて。

『夢』を、諦められるかもしれない。

 

「…一回ぐらい、頼めば譲ってくれるかね?」

 

ジィ、と自身を牽制して(見て)いた"ウマ狂い(息子)"の目を思い出しながら。

白峰(ふひと)は、微笑んでみせるのであった。





白峰パパ:
白峰おじさんのパパ。
名を白峰(ふひと)
知る人ぞ知る名トレーナーであり、元チームアルデバランの統括(現チームアルデバラン統括の灰方トレーナーの前代)。

かつて自分が見出したウマ娘が描く()()()()()軌跡を見れなかったことが今も尚な後悔のヒトミミ。
多少の病弱なら万全のサポート体制組んで面倒見るはずだったのに運命さんってヤツはさぁ…。

なのでかつて自分が夢見たウマ娘とそっくりにペッカー!!と光り輝く僕に食指が動きまくり。
結果、「先っちょだけ」ならぬ、「さわりだけ、さわりだけだから!」状態と化す。
そして自身の息子である白峰おじさんとバチバチに。
ウマ狂いvsウマ狂い、ファイっ!!


かつてのウマ娘:
"ホワイトキティ"。
えげつない相バ眼を持つ(ふひと)トレーナーのお眼鏡に病弱ながらも適いまくったウマ娘。
世が世なら蹂躙ぐらい普通にこなしてただろう逸材。
でもその才覚はお天道様の目にも入ってしまうほどに強大かつ埒外のモノで…。

…でも、競走バとしての私を見出してくれたのは、最初から、最後まで……。
そう、思うと…少し、申し訳ない、ですね…こほっこほっ。
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