さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ほら一瞬で様変わり!



ギャップ

ヒトの姿を取り、そうして再会したアイツは『本当にアイツなのか?』と思うほどにふわふわしていた。

ぼんやり、というか。

ふにゃ…、というか。

どこか放っておけないくらいには頼りない雰囲気を纏っていたのだ。

 

「…………」

 

……いや、まぁ……。

それはそれで、なんだけどさ?

でも、ちょっと違うんだよなぁ~……。

俺は心の中で首を傾げる。

俺の知っているアイツと今のアイツがどうにも結びつかない。

だって俺の知っているアイツはひどく凪いだ眼をしては、こちらに見向きなんてしてくれなくて。

追って、競って、やっとギリギリこっちを見てくれるかどうかという。

名前も、そもそも顔すらも覚えてくれているのか不確かな始末の。

"敵"としてすらも見てもらえていなかった相手なのだから。

それが今ではどうだろう?

あの頃の刺々しいまでの無関心など微塵もなくて。

それどころか、だ。

むしろ好意的ですらあって。

そのせいで逆に調子が狂うというか。

…しかし。

 

「───ッッ!?」

 

授業の一環で模擬レースをするとなって。

体操服に着替え、レース場に入った瞬間、ピリ…と引き締まる空気。

思わず肌を伝った悪寒にバッと顔を上げれば、そこには昔懐かしの…。

 

『……』

 

ゾッとする眼。

何も見ておらず、何にも興味がない。

慣れた手つきで念入りに体をほぐし、ルーティーンを執り行ってゆく姿があった。

 

「……」

 

あぁ、やっぱりそうだ。

間違いない。

あれは間違いなく……、

 

"───────?"

 

俺と同じクラスのヤツらがざわめき始める中、先生の声掛けにより一斉にスタートした第一チーム。

その中で一際抜きん出て速いのはもちろんアイツだ。

そもそもスタートからして反応速度が桁違いであり、他のメンバーが走り出すために重心移動した時には既に体がひとつふたつぶん前に出ていて。

そこからスーッと風に乗るように駆けていくのだから、もう追いつけるわけもない。

そしてそのままゴールテープを切ると思えば、今度はまた別のチームの連中(2クラス合同授業で、話しかけているのはその別クラスの奴ら)に絡まれていた。

 

"すっげー!お前めっちゃ速ぇじゃん!"

"ねぇねぇ、名前は?"

"あっずるい!私も聞きたい!!"

 

『速い』ってのは生物としての根本的な長所なのだろうかと、小学生の頃の「好きな人?あの足の速い××くん!」みたいな風潮を思い出しながら眺めていれば、囲まれた当人は困り果てた様子で眉を下げているではないか。

『えっと……』とか、『あの……』とか言い淀むばかりで一向に答えようとしないソイツを見ていれば、次第に周りにいた他の生徒たちまでもが寄ってきてしまい、ついには団子のように…。

……あーあー。

 

「いっちょ、助けに行きますか」





銀系列は普段のほほんとしてるけどレースになるとピリッとするので、ウマになって再会したら大概の馬時代の知り合いに二度見されてそう。
でもレースになると馬時代まんまになるのでギラギラに。
しかしそのギャップでまた焼かれるやつががが…(白目)。
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