応えられるけど。
それでも。
引退して、そこそこ経って。
選手というよりは、裏方の方になって幾許か。
教え子たちに慕われつつも、時折裏方として取材を受けるようになると…。
『…あの、』
「はい?」
『う、うしろ、の…』
「え?」
流れるように受けごたえしていた質問が突然止まったことに、不思議になって顔をあげると自分の後ろを指さされ。
その震える声に振り向けば、そこには。
「グローリー」
じっ、と静かな眼で、自分たちを見つめる目。
「誰、ソイツ」
「取材の人だよ。あれ?言ってなかったっけ?」
「知らない」
「まだ取材終わってないんだよ。いい子だから待ってて、ね?」
ひょいと自分を抱き上げて、そのまま帰ろうとする相手に努めてやさしく言い聞かせれば、「……わかった」なんて渋々ながらも聞き入れてくれてほっとする。
「すみません、お待たせしました。じゃあ続けましょうか。あ、後ろのグローリーのことは背景か何かとでも思っていただいていいので」
『…はい』
ぎゅっとしがみついてくる大きな手に、ああこの子は本当に寂しがり屋だなぁと思いながら。
「いい子だね、グローリー」
*
打てば響くのは自分よりも、どっちかというと相手の方だった。
自分も、やろうと思えばインタビューぐらい受けられるがどうにも端的になってしまうから。
『他人の聞きたいこと』を察する力が雲泥の差であるので。
『……あの、』
「はい?」
『そろそろ、終わりましょうか……?』
「どうしてです?」
『いえ、その……ヒッ!』
軽く睨みつけると震え上がる姿にハッと笑い声が出る。
分かっているなら早く帰れよ、キミたちが『聞きたいこと』は全部聞かせてあげたでしょう?
『で、では、ありがとうございました!!』
「あっ、」
脱兎のごとく。
懸命に逃げた背に伸ばされかけた手を引っ掴んで。
「帰ろう」
「…キミねぇ、」
おだやかで、やさしくて。
僕よりは小さい子に慕われやすくて、頼られやすくて。
…誰もの目を惹く、人気者のキミ。
「グローリー」
「…なぁに?」
「そんなに、心配しなくても」
───僕は、キミしか見てないよ。
頬を両手で包み込んで、至近距離で告げられる言葉に我ながら安いと自嘲する。
…そんなこと言われたって、僕はずっと不安なのに。
どれだけ尽くしても、贈り物をしても、いつも変わらず『ありがとう』と笑うだけのキミ。
本当は僕のことを疎ましく思っていてもおかしくなくて、いつか飽きられて捨てられても文句も言えない立場だという自覚はあるのだけれど。
(それでも)
「愛してるんだ」
「……うん」
はぐらかすような笑みの消えた、真摯な瞳に見据えられたまま。
額を突き合わせて。
(嗚呼、)
キミの心が、分かればいいのに。
【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
相手が捕まることを選んだ時点でめちゃくちゃ気を許されてて受け入れられてるってのに、想いの重さが釣り合ってないと不安になってる系ウッマ。
また【戦う者】の写真にいつもサラッと映り込んで無の顔でカメラ目線してくるウッマとも。
なので【戦う者】ピンの写真のはずがどこかしらに【栄光を往く者】がいるという…。心霊写真かな?