さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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もうこれぐらいの年齢差になるとジジイと孫…みたいな関係よりもジジイ(悪ガキ)に巻き込まれる悪ガキ…みたいなモンになりそうだよね、と。


ワルイ大人

「おやっさん」

「よォ、悪ガキ」

「…また煙草吸ってんの」

「消そうか?」

「いンや、そんなヤワな体じゃあねェって」

「そうかい」

 

歳の祝いか敬老の日かにもらったロッキングチェアに揺られながら煙を蒸していると玄姪孫の若人が。

 

「三冠おめでとー」

 

間延びした声でそう祝えば、「ガイセイにも同じ感じで言ってそう」などと呆れ顔。

 

「この年齢で僕みてぇなジジイがピンシャンしてるだけ感謝しろよォ?」

「ハイハイ」

 

トントン、と灰を胸ポケットから取り出した携帯灰皿で処理しながら「で?」と尋ねる。

 

「ん?」

「なんだい、その箱は」

 

指差した先には台車に乗せられてやって来たいっぱいのダンボール箱。

 

「あぁ、祝いだって」

「ふぅん?」

「めちゃくちゃ届いたからおすそ分け」

「なるほど」

 

ウチの家系は多岐に根を張っている。

名家に婿入り・嫁いだ子もいれば、自分が一家の長となった者もいるのだからその分、人数も多い…からこそ。

 

「じゃ、有難く」

「助かる。おやっさんなら全部配れるだろ?」

「まぁ…いけはするだろうけど」

 

そんな話をしていると、預かっているチビたちに見つかり集られる三冠バ様。

「おやっさん助け…!」と悲鳴が上がっていたが「僕よりずっと若ェンだから文句言わず遊んであげな。僕も最近身体ギシギシ言うようになってきたんだよ」「ンな体つきで信じられッか!!」などと。

 

「おやっさん! おやっさん!!」

「はァい」

「マジで助けて!!?」

「ハイハイハイ…。ほらにーちゃん困ってるだろ」

 

そう言って手を振れば、チビたちは不満そうな顔をしながらも各々散っていった。

 

「…そろそろ出ないと寮の門限間に合わないんじゃない?」

「え…、うおっマジだ!」

「ン〜。あ、そういえばハイセイコいたっけ。車出すように言っちゃろ」

「…と言うか元々ハイセイコさんに送ってもらって来たんだけど」

「あ、そ」

 

 

シルバギャングスタにとって、"おやっさん"ことシルバーバレットはワルイ大人だった。

シルバギャングスタというガキが傍に居ようが煙草は吸うし、ひとたびかけっこ()を挑めば大人気なく負かしにくる。

また嫌いな食べ物をそれとなくみじん切りにしたりして料理に紛れ込ませては食べさせて「美味しかったろ?」とニヤニヤ笑い。

「おやっさん」と呼べば、「よォ、悪ガキ」と必ず返す。

そして何より……。

 

「おやっさん、…大丈夫だよな?」

 

そう尋ねた時、彼は少しだけ眉を吊り上げた後でこう言ったのだ。

 

『ン〜? いやァ、僕ァ生涯現役だっての』

 

だからンな顔すんなガキ。

そう言って笑った顔は今でも覚えている。

 

「…長生きしろよ、ジジイ」

「言われんでもするわ」

「へいへい」





僕:
シルバーバレット。
玄姪孫にあたる【銀色のギャングスタ】とは悪友みたいな感じ。
【銀色のギャングスタ】の前ではだいぶ口調が崩れており、その姿は母方の祖父そっくりだとか。
酒は飲まないが煙草はフツーに吸う。
だがそれはそれとして、最近ちびっ子に付き合って遊ぶのがちょっと辛くなってきたらしい。
…身体ギシギシのバッキバキだな、こりゃあ。
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