さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

512 / 1416

髪が綺麗な人とかも好きそうだな、銀弾(こなみかん)。



どちらにせよ檻

「カツラギの髪は綺麗だよね」

「そうかぁ?」

「うん」

 

普段は清潔で清廉なシャンプーの匂いがするけれど、時々手伝ってきたのか土の匂いがうっすらと香るその黒髪が僕は好きだった。

 

(土の匂い嗅ぐと父さんのこと思い出せるし)

 

キュッと括られた髪の、その毛先を指先で弄りながら話をする。

 

「でも、カツラギの髪、こうやって見ると案外長そう」

「ああ。あたしの髪、ほどくと案外邪魔なんだぜ?」

「そうなの?」

「だって、洗う時に時間かかるし、乾かすのも面倒だしな。でも……」

 

そこで言葉を区切ると、カツラギは僕の頭をわしゃわしゃと撫でてきた。

僕はそれを心地好く思いながら、ゆっくりと目を閉じる。

そしてそのまま背が床につき、目を開けるとまるで檻のようにカツラギの髪が僕の顔の周りを覆って。

 

「こうやって、閉じ込められんのはいいことだな!」

 

カツラギが僕を見下しながら、そう言った。

僕はその状況にドキドキと胸を高鳴らせながら、そっとカツラギの頬に手を這わせる。

すると、今度はその手を掴まれて握り締められた。

 

(……)

 

重なり合うように抱き締めあう。

カツラギの方が体が大きいから、傍から見れば僕はカツラギに包み込まれて隠れていることだろう。

 

「あったかいな」

「うん」

 

僕はその温もりを感じながら、そっとまた目を閉じた。

 

 

他の奴らにはこうも簡単に触れさせないんだろうなぁ、と思いながらカツラギエースは自身に包み込まれ、遂にはスヤスヤと安眠しだしたシルバーバレットを見やる。

思えばどこかしらがシルバーバレットの琴線に触れていたらしいカツラギエースは"あのふたり"と比べると気楽に関わってこられていた。

しかし。

それが、それでも、カツラギエースには物足りず。

 

(もっと、あたしに執着してもいいのに…)

 

そう思いながら、眠るシルバーバレットを抱き締める。

 

「……」

 

そして、その首筋に顔を埋めると思いっきり息を吸い込んだ。

 

(……これがコイツの匂いか)

 

スンスンと鼻を鳴らしながら匂いを堪能していると、不意にシルバーバレットが身動ぎをした。

それに気付いたカツラギエースは軽く抱き締めていた力をゆるめる。

そうすれば「ううん」なんて言って、ゆるんだソコに身を寄せるようにシルバーバレットが擦り寄ってきた。

 

(……コイツ、こんなに無防備で大丈夫か?)

 

そう思いながらも、カツラギエースはそっとまたシルバーバレットを抱き締める。

そしてそのまま、今度は自分の胸に抱き込むようにして目を閉じたのであった。

 

 

(なんか、いい匂いがする……)

 

くん、と鼻を動かしながら目を開ければ、目の前にカツラギエースの顔があって驚いた。

 

(え!?なんで!?)

 

などと困惑したところで眠る前のことを思い出し、嘆息する。

 

(め、迷惑かけてら…)

「ん゛〜…」

「ぁっ、離してくれそうにない〜!(小声)」





僕:
シルバーバレット。
畑やってる父の影響で土の匂いに安心を覚えるウマ。
ファミリーコンプレックス、略してファミコン。
とっても無防備。
でも幸運EXだからヘーキヘーキ(笑)。
…ホントに大丈夫ですか?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。