さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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第三者と関わるようになって『父さん』と呼びはじめるようになったけど、それまでは『お父様』って呼んでるタイプの子どもが【銀色のアイドル】なんだよね。



それは家族愛ですか?

「お゛どーしゃん゛ー!!」

「どうしたの〜?」

 

びええ〜!と泣いて、しゃくり上げている我が子を父であるシルバーバレットが抱き上げる。

その傍には不服そうな顔をしている同じく我が子の───シロガネハイセイコがいて。

 

「ぐっ、ずびっ…はいせいこがぁ!」

「えっ?」

 

泣く子の口から出された名前に驚く暇もなく、服の裾を引いた本人から「だってソイツが悪いんだ!」と悲鳴の如き、鋭い大声が上がる。

 

「うああ゛〜…ッ!!」

「え、えぇと…」

「お父様は、僕のなのに!僕のお父様なのに!!」

 

 

シロガネハイセイコにとって、父-シルバーバレットはある種『カミサマ』のような存在である。

はじめて自分に人の温かさを教えてくれた人。

愛してくれた人。

上手く出来なくても、「ゆっくり進めていけばいいんだよ」と言ってくれた人。

だから…その他諸々を含めて、幼いながらにシロガネハイセイコはこの人を独り占めしたいと思ったのだ。

でもそれは叶わぬ願いで、自分より後に産まれた"きょうだい"たちも同じように思ってることを知った。

そして、父は自分のモノだと言い張って、身をもって示して譲らない"きょうだい"たちが邪魔になった。

けれど、

 

「…ごめんね、ハイセイコ」

 

父は、シルバーバレットは、…シロガネハイセイコの想いに──()()()()()()()()()

分かってはいたことだ。

自分がいちばん初めに見出された故に"きょうだい"たちを守らなくてはいけなくて、それと同じことを父も()()()()シロガネハイセイコ以上にやらなくてはいけないことがあるのだと。

……そう理解していた筈なのに、いざ目の前で父が、自分以外の、他の誰かを優先したことに酷くショックを受けて泣き喚いて。

 

「僕だけのお父様じゃないなら……救われたくなんて……」

 

涙と一緒に溢れ出た本音。

しかし。

 

「いい子だね、ハイセイコ」

 

その言葉を、かけられてしまえば。

いや、かけられてしまったが最後。

"シロガネハイセイコ"というウマは、()()()にならざるを得ないので。

 

「…はい、お父様」

 

笑う。

父が望むように、笑ってみせる。

それがどんなに苦しくて辛いことであっても、この人に褒められる為ならば何度だって、何だって。

あなたに出逢い、僕は生まれたのですから。

あなたのために、僕は生まれたのですから。

あなたのために、あなたのために、あなたのために!!

 

「…愛してるよ、僕の愛しい──」

 

おとうさま。

ぼくの、ぼくの───。

 

「……ぼくも、あいしてます」

 

ぼくの、…とうさん。





【銀色のアイドル】:
シロガネハイセイコ。
下のきょうだいは、泣くだけでお父さんに構われていいなぁ…ぐらいは普通に思っている。
でも構われたいが故に『悪いこと』は絶対しない。
何故なら、『悪い子』になることは。

───お父様の望む、シロガネハイセイコ(ぼく)ではないので。
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