さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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傷すらも勲章。



愛であるが故、

「好いた女を護って何が悪い」

 

そう言うと、好いた女は顔を真っ赤にして唇をパクパクと戦慄かせた。

そりゃあ擦り傷ひとつでも怪我して帰ってきたコチラが悪いが、何もそんな顔をしなくてもいいだろうに。

 

「ちょっと、なに勝手に話進めてンだ! 私はテメェのことなんか好きじゃねェよ!」

「おいおい、それはないだろう? あんなに何度も愛を囁いてやったっていうのに」

「う……っ」

 

唇を噛んで悔しそうに俯く姿は可愛らしいが、そういう態度は余計に相手の嗜虐心を煽るだけだってことをいい加減学習した方がいい。

それともわざとやっているのだろうか。

いや、コチラの惚れた女はそこまで器用な女性(ヒト)ではない。

 

「ま、怪我して帰ってきたのは悪かったさ。でもよ、惚れた女を護って出来た傷なら男として勲章モンだろ?」

「そ……れは、そうかもしれねェが……」

「それとも何か? テメェは好いてもいねェ男に傅かれて悦ぶような女なのか?」

 

意地悪く問うと、女はコチラを睨み付けながら小さく首を横に振った。

そういう従順なところは初対面から変わらねぇな。

いや、むしろ日々可愛げが増している気がする。

まァ、それが『愛』ゆえって言うんなら平手打ちの何発でも甘んじて受け入れるが。

 

「…メシ」

「おう」

「作ってる、から」

「ああ。そういや腹ペコだ」

「ん……」

 

小さく頷いて、女は逃げるように部屋から出ていった。

その後ろ姿を見送りながら、俺は自然と頬が緩むのを抑えられなくて。

ああ、まったく……可愛い女だよなァ?

 

 

惚れた女がいる。

一世一代の恋だ。

一目見ただけで雷に撃たれたような心地になり、この女のためにならどんなことでもできると思った。

だから俺は、今日も…彼女の尻に敷かれながら生きている。

 

『おい』

「……あァ?」

 

だが、世の中ってのはどうにもままならないもので。

愛しい愛しい女がいるというのに、俺の人生には邪魔者が多すぎるのだ。

 

「テメェ……また性懲りもなく……」

『ハッ! そりゃあコッチの台詞だクソ野郎!』

 

目の前で憎たらしく笑う男は、俺がこの世で一番嫌いな類の男だった。

いッッッッつまでもウジウジウジウジ…。

確かに俺が射止めた女性(ヒト)は魅力的も魅力的だが、…横恋慕が多過ぎる!

 

「…アイツのこと、今までバカにしてた癖に誰かのモンになったら惜しいだとか何だとか言いやがって」

 

パンパンっ、と手のひらについた何だかんだを払いながらそうボヤく。

 

「『粗野だしキツいし体つきもフワフワじゃない』ねぇ…」

 

脳裏に思い浮かべる愛しい女性(ヒト)の身体はたしかに、世間一般で美人といわれるものから少し離れている。

タッパはあるわ筋肉ついてるわ口撃は強いわあの目で睨まれたら大抵の男は竦み上がるわで、お世辞にも女らしいとは言えないだろう。

だが、それがどうした。

 

「テメェらの目は節穴か??? 」

 

確かにアイツは粗野だしキツいし口も悪いが……それ以上に可愛いだろうが!

あのツンデレ具合を知らねぇからそんな台詞が出るんだ! ああクソッ!

 

「……コッチは全部知ってんだよ」

 

だから…俺以外の男がアイツに近づくンじゃねェや。

 

「アイツは、もう俺のモンだ」

 

精々、親指吸って羨んでろ───見る目のねェバカ共が。





【電撃の差し脚】:
ヒカルイマイ。
ベタ惚れ。
惚れた女にゃ一直線で押せ押せするし、それで平手打ちされようが「()い」する無敵。
好いた女だから、ただそれだけで愛しい男。
故に諦めきれずに寄ってくる有象無象には…?

【白百合】:
ホワイトリリィ。
まぁコッチもベタ惚れ。
でも怪我して帰ってくる【電撃の差し脚】は嫌い。
体格がよろしい。
そして性格もキツいので度度周りの男たちから「無い無い!」されていたが実は…?
まぁ現在は自分をマルっと愛してくれる【電撃の差し脚】と出逢いラブラブだからネ!(にっこり)
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