さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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基本平等。



あなたの"一番"

『お父さんの一番はだぁれ?』

 

そう聞くと、父はいつも困ったような顔をした。

父さんの子どもである僕らはみんな、父さんのことが大好きだから『誰が一番なのか』ということをはっきりさせなきゃならなかった。

父さんが、一番好きなのは誰かということを知りたかった。

 

『お父さんが一番好きな人はだぁれ?』

 

そう聞くと、父はいつも困った顔をした。

でも、それは僕らに対してじゃない。

そりゃあ確かに、『運命』と憚らず呼ぶくらいに父は白峰さん(あの人)のことを好いていたけれど、アレはもはや一心同体的な、『好き』の一言で表現できるようなものじゃなかった。

ぐちゃぐちゃで、ぐるぐるで。

自他ともに認める名コンビではあるけれど、その実、僕らが父さんと白峰さん(あの人)の関係を一言で言い表せたことなんて一度もない。

だからこそ、僕らは知りたかった。

父が一番好きなのは誰なのかを。

 

『……』

 

子どもたちの目が昏く輝く。

 

『お父さんの一番はだぁれ?』

 

白峰さん(あの人)に敵わないことは知っている。

でも、それでも。

だからこそ、僕らは知りたい。

父さんの一番は誰なのかを──!

 

『お父さんが一番好きな人はだぁれ?』

 

 

「…って、最近子どもたちからよく聞かれるんだけど」

「……そうか」

 

ある日、不意にマブダチから告げられた悩みに一瞬サンデーサイレンスは「またかよ」と口に出しそうになったが、どうにか堪えて相槌を打ち、

 

「……まあ、アレだ」

 

サンデーサイレンスは言葉を濁した。

その理由は単純明快である。

 

(他の子どもに取られる前に自分のモノにしときたいんだろ)

 

そんな事情を、このクソボケに察しろという方が無理がある。

サンデーサイレンスは、ふとそんなことを思うが──まあ、それは自分には関係のないことだと割り切る。

 

(それに、コイツも……)

 

キョトンとこちらを見つめる瞳の、その光の無垢さが、サンデーサイレンスの心を僅かにイラつかせた。

 

「まあ、なんだ」

「うん?」

「とりあえず『みんな大好き』って言っとけ」

「……うん!」

 

嬉しそうに頷くマブダチを横目で見ながら、サンデーサイレンスは内心で独りごちる。

 

(……コイツはきっと、『好き』がよく分かってねぇ)

 

そんな確信めいた予感に──どこか寂しさのようなものを覚えながらサンデーサイレンスは苦いコーヒーに口をつけた。

 

(こういう話聞く時はブラック飲んでねぇとやってられん)

「でもちょっと嬉しいよ」

「あ゛?」

「だってみんなほぼほぼ大きくなったしさぁ。普通は反抗期の時期だから…ふふ」

「…お前な」

「?」





僕:
シルバーバレット。
相棒である白峰おじさんは殿堂入りなウッマ。
たぶん『好き』を向けるとしても大概が純粋な友愛みたいなモンで、白峰おじさんに向けるレベルの『好き』までには届かないと思われる。
ちゃんと家族愛はあるんですけどね〜。
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