さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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実のところ、馬時代のシロガネガイセイは振り落とされないようにしていれば勝てるってタイプだったりする。
テンよし中よし終いよしEXみたいな。
だが…?

シロガネガイセイ(実馬時代)のヒミツ①
実は、相棒以外が乗るとテコでも動かない。



我が愛しく憎き"悪魔"

そのトレーナーは、後に日本URA史に『無敗の11冠バ』として刻まれるウマ-シロガネガイセイに選ばれた人間で。

だがシロガネガイセイは人付き合いが少し苦手なだけで選手としてはデビュー前時点から完成されており、そのため(くだん)のトレーナーは『シロガネガイセイのお気に入り』と呼ばれ、対等なトレーナーではなく、ただシロガネガイセイという存在の愛玩物として周りから見られているような有り様であった。

 

「…はあ、」

 

ため息を着くのも無理は無い。

それほどまでにシロガネガイセイは、新人トレーナーが担当する初めてのウマとして規格外だったから。

初対面で自分の袖を掴み、有無を言わせず担当契約を迫り、断りきれなかったトレーナーが「分かった」の「わ」を口に出した瞬間に「今から」と強引に連れ出して。

その後もシロガネガイセイの言うことに振り回され、目まぐるしく栄光と栄光と栄光を積み上げていく担当バにトレーナーは「おめでとう」と焚かれるフラッシュの中、引き攣った表情と言葉で祝辞を述べることしか出来なかった。

 

「こんなはずじゃなかった」

 

件のトレーナーはため息を吐く。

シロガネガイセイという存在に、トレーナー人生のキャリアハイを早々と達成されてしまったのが理由だ。

 

「父さんみたいに『運命』のウマと出会いたい」

 

それが彼の夢で、だからこそシロガネガイセイという、新人トレーナーから見ても夢のような存在を偶然とはいえ担当に出来たことを()()()()喜んだ。

だが蓋を開けてみればどうだ?

デビュー前から無敗街道を突き進んでいたシロガネガイセイは、デビュー戦とクラシック三冠全てで圧勝し、続くシニア級でもその勢いのまま無敗を続け…。

 

「トレーナー」

「あ、あぁ…」

 

もはや、自分を呼びに来たその姿が【悪魔】に見える。

 

「次はドリームトロフィーリーグ」

「…うん」

 

シロガネガイセイは無敗だ。

()()だ。

…それは、新人トレーナーが担当にするにはあまりにも荷が重すぎる存在で。

しかし、彼の夢は確かに叶ったのだ。

 

 

"シロガネガイセイ"という存在はトレーナーにとって【悪魔】であった。

しかし、どうしようもなく惹かれてしまう光でもあり。

忌避しながらも、魅入られる。

それはまるで極光のように。

ギラギラと光って、目を焼く。

 

きっと。

どれほど時が経とうとも。

シロガネガイセイ(主役)が舞台から降りようとも。

トレーナー(演出家)の目に映るのは────。





【再来】のトレーナー:
シロガネガイセイのトレーナー。
新人トレーナーなのに初担当バにトレーナーとしてのキャリアハイを叩き出された。
多分馬でもウマ世界でも情緒ぐちゃぐちゃ。
何をせずともそばに居る(乗っている)だけで勝つウマに選ばれちゃったのが運の尽き。
初担当バのことを【悪魔】と呼ぶけれど、他人にそう言われるとブチギレる。…難儀ェ。
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