シロガネガイセイ(実馬時代)のヒミツ②
実は、観衆の前では我慢しているだけでスキンシップを許すのは最愛の相棒のみ。
シロガネガイセイにとって、そのトレーナーは『運命』であった。
幼いころから『"かのウマ"の再来』と謳われ、トレセン学園に鳴り物入りで入学したためにひとたび廊下に出れば「ウチのチームにどうか」と煩わしいほどに口説かれていた中で。
「…!」
見つけた、と思ったのだ。
心臓が高鳴って、離しちゃダメだって。
「え、と…キミ、どうしたの?」
「トレーナーになって」
「え?」
僕の。
ずっと、あなたを待っていた。
湧き上がる熱はどこから?
もしかすると魂ってヤツからかも。
それほどまでに、僕はその人に焦がれた。
「シロガネガイセイ」
はじめまして。
*
「なァ、どうしてあのトレーナーに決めたんだ?」
そんな質問をされたのはいつのことだったか。
『運命』のトレーナーさんと出会ってから数か月が経った頃のこと。
トレーナー室に向かう途中で同期のウマに話しかけられた僕はピタリと足を止めた。
「……?」
「はぐらかすなよ。お前ならどんなベテラントレーナーでも選り取りみどりだったろ?」
「……?」
ワケが分からない。
ベテランだろうが新人だろうが、僕の『運命』はあの人なのに。
「だって、アイツはお前を重荷に思ってる」
「……っ!」
「ほらな。お前はあの"伝説"に憧れてんだろ?お前ならあんなヤツよりもっと良いトレーナーがいくらでもいるだろーに」
「……」
「ま、お前が決めたんならいいさ。ただ……あんまり入れ込むなよ?」
同期のウマはそれだけ言うと僕を残して去っていった。
僕はしばらくその場に立ち尽くしたまま動けなかった。
「、」
…気付いてたよ。
あの頃から。
僕に会いに来てくれなかった貴方。
僕は待っていた。
ずっと、ずっとずっとずっとずっと!!
晴れの日も雨の日も雪の日も、春も夏も秋も冬も!!
ずっとずっと、待っていたのに!!
「……」
でも。
でもね?
「……ふふっ」
あの人をはじめに見つけたのは僕で。
同期や先輩はみ〜んな、あの人が僕のって分かってるからちょっかい出してこないし(いやそもそも新人トレーナーにそこまでみんな興味ないのかもしれない)。
あの人もあの人でお人好しで、僕のこと大好きみたいだから。
「疎まれても嫌われても別にいい」
傍にいてくれるだけ、ずっといい。
「だって、僕だけの『運命』だから」
・
・
・
ずっと寂しそうなアイツを見ていた。
一番来て欲しい人が来てくれないアイツを、ずっと見ていた。
『……』
アイツは人気者だった。
そして大人しいタチだったから見物客が多かった。
けれど、
『……どうして?』
【再来】:
シロガネガイセイ。
実は素っ気なさそうに見えて相棒ガチ勢。
再来だからね、愛が重いのも仕方ないね。
【再来】の騎手:
馬時代の【再来】の相棒。
若手も若手の頃に【再来】に選ばれ情緒ぐちゃぐちゃに。
新人なのに無敗の11冠馬に乗ってキャリアハイしちゃったのでフツーにG1勝とうが『合わせる顔がない…』に。
初めての馬が乗ってれば勝てる馬だったから…ハイ。
ぐちゃぐちゃだァ…。