さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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余っ程じゃないと連絡先渡してくれない系銀弾。



連絡つかず

大半の周囲の人間にとって、シルバーバレットと連絡を取ることは至難の技である。

そもそもが携帯電話であるというのに携帯することを忘れ、走りに行ってしまったり、携帯にGPSを仕込んだとしても「野良猫でも昨今こんな挙動しねぇぞ?!」というくらい縦横無尽に駆け回るウマであるからして、常に連絡を取ることが難しい。

そのため、シルバーバレットと連絡を取る際には家族かトレーナーか、またはシルバーバレットのマブダチ(サンデーサイレンス)か、シルバーバレットが可愛がっている後輩(オグリキャップ)に頼んで繋いでもらうしかなく。

…ない、のだが。

 

「ヤダ」(マブタチ)

「頑張ってください」(妹)

「家で待っとけば帰ってくるんじゃないかなぁ?」(トレーナー)

 

誰も協力してくれない…。

唯一協力してくれるのはオグリキャップぐらいだが、それでも「先輩はいつもすぐに出てくれるんだが…」と困ったようにコール音が続く携帯電話を耳に当てていて。

そのあまりにも申し訳なさそうな顔にこちらも胸が痛くなった。

…心苦しい。

 

『や、やっぱり自分でなんとかする! ほら、もうこんな時間だ!』

 

「でも……」と心配そうなオグリキャップをどうにかこうにか言いくるめ、もらった連絡先に電話をかける。

コール、コール、コール、コール…。

 

『おかけになった電話番号は──』

 

 

昔から家にかかってきた固定電話に出ない子どもだった。

そういう受け答えが苦手だった、というのもあるし、祖父や両親から「知らない番号には絶対に出るな」と言われていたのもある。

……まぁ、一番はそれらを下のきょうだいたちが担当してくれていたからだが。

でも、今は少しだけ違う。

 

『おかけになった電話番号は現在使われておりません』

 

耳に当てていた携帯を下ろし、ため息を吐く。

何度目だろうか、この電話もどきをするのはもう十回を超えた辺りから数えていないが──やはり繋がらないか。

諦めつつ、携帯を置こうとすれば瞬間かかってくる電話。

 

「はい。…あぁ、よかった」

 

可愛がっている後輩から、自分に用がある相手に電話番号を渡したと聞いていて。

その話から履歴をあたってみると後輩の電話番号の後に知らない番号から何度かかかってきた履歴があり、これかと。

 

「もしもし? ……あぁ、そうだよ。僕だよ、シルバーバレット」

 

電話越しの声は記憶にあるものとは少し違っていて、でもやはり聞き慣れたもので。

安堵しつつ、相手の話を聞くために耳を澄ます。

 

「ん? いや、別に用はないよ。ただキミが僕と連絡取りたがってるって聞いたから……」

「そう。…じゃあ今度一緒にお出かけでもしようか。僕ちょうど、行きたいところがあるんだ」

「──ダメかい?」

 





僕:
シルバーバレット。
家族+トレーナー+マブダチ+可愛い後輩(オグリ)にしか電話番号を渡していないウマ。
とはいえ、必ず電話に出るとも限らないんですが。
また人の心をくすぐるのが上手い。
適切に飴を与えてくるが如何せんムチも上手いので…。
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