さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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自覚。



親には向かぬ化物

『僕らの"カミサマ"!』

 

そう宣いながらも内実は背信者の集まりだ。

信奉しているのは確かであるけれど、それと同じ、いやまたはそれ以上に"カミサマ"を打ち倒したくて堪らない者共の集まりが…我等であるからして。

 

「…ハイセイコ?」

 

不思議そうにこちらを見あげる顔は、嫌に慈愛に満ちていた。

『親』なんてモノに、世界中の誰よりも向いていないニンゲンのクセに、と舌打ちをしたい気分になる。

 

「…、」

 

ゆるりとその細い頸に手をかける。

本気で"する"わけじゃない。

ただ、この手の中にすっぽりと収まる小さな手だとか、頼りない肩だとかに苛立つだけだ。

 

「なぁに?どうしたの?」

 

困ったように笑うその表情も気に入らない。

いっそ泣き喚いてくれれば良いものを。

 

…あなたの感情が見たい。

誰にでも平等に振り撒かれる慈愛ではなく、自分だけに向けられた情が欲しい。

そんな風に思う僕らはきっと狂っているのだとは分かっているけれど。

それでも、あなたからの特別な何かが欲しくて仕方がないのです。

 

 

自分は、『親』というモノに向いていない。

そう気がついたのは一番はじめに引き取った子たちがそれなりの年齢になったころだった。

 

「…、」

 

それまでは『我が子』として愛していたのに。

それなりに成長した『我が子』を見て、…『親』としては抱いてはいけない類の感情を有してしまった。

かつての、"願い"の残り香。

 

「じぶんでも、あきらめたと、おもっていたのだけど」

 

──自分と遊んでくれる人が欲しい。

端的に言うとそんな"願い"。

それが叶うことはないだろうと諦めていたはずなのに、目の前にはソレが()()()()ある。

しかもそれは自分のことを慕ってくれているようで。

嬉しかったのだ。とても。

だからついつい…。

 

(ダメだ)

 

伸ばしかけた手を、歪み、涎を垂らしかけた口を覆う。

これ以上はいけない。

コレらは自分が生み出した幻想でしかない。

分かっていたはずだ。

分かっていて尚、気付かないふりをしていたのだろうけど。

 

「…救いようのない、」

 

欲張りの、業突く張りで。

慈しむべき相手を"獲物"としか見ていない。

なんとも醜悪な"バケモノ"だ。

 

「、」

 

それでも。

唇は勝手に笑みを形作る。

歪んだまま戻らないソレを隠すように俯きながら。

嗚呼、どうか赦さないでくれ。

こんなにも浅ましい自分を。

"親"などとは到底名乗れないような汚濁のような存在であることを。

 

「はは、」

 

ジリジリと目の前が軋む。

どうしようもない、どうしようもないとも!

 

「こりゃあ"怪物"だわ、なァ…?」





僕:
シルバーバレット。
"バケモノ"が『親』の真似事をしている。
内実共に"バケモノ"が拭えないため、ずっと飢えている。
『自分と遊んでくれるヒト』を欲しがる本能と、それを抑えることのできる理性を有していたのは幸か不幸か。

…はァ。
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