さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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まぁ、年明けにやる話ではないとは自覚している。



選ばないまま行ったり来たり

誰と、と明確に決めているワケではない。

そんなことを声を大にして言ってしまうと後ろ指を指されんというか、物理的に刺されんモノだが、それでも何故だか、この関係は成り立ったままだった。

 

「おはよう」

 

鞄の中にあるキーケースは自分の部屋、実家の鍵のふたつ…だけじゃなくなって遠に久しく。

きっと、見る人が見れば涎を垂らすんだろうなぁ、と思わず考えてしまうくらいには豪華なシロモノとなっていた。

なにせ、その総てが今でも名を知られるトゥインクルシリーズでかつて活躍したウマの、現在の家の鍵である。

そして、そんな豪華なシロモノを所有するに至った要因はといえば。

 

「いや、今日は…昨日から言ってたでしょう?」

 

成りたくて現状になったワケではない。

そりゃあ僕だって大人になったのだし、学生時代から引き続きちゃんと一人暮らししていた。

しかし、ドリームトロフィーリーグに移籍した折に引っ越したアパートが、知り合いたちから見るとあまりにも危険だということで(確かに趣ある場所ではあったが)「自分の家に来たら?」と誘われたのが始まりだ。

それからその誘ってくれる人が増えて、気づけばドリームトロフィーリーグを勇退した後も、僕はその厚意に甘えさせてもらっている。

そうして、今では気ままな一人暮らしから一転して、ひと通りの家事を宿食の対価として複数人の家を渡り歩くように…。

 

「いやはや……まさかこんなことになるなんてね」

 

ひとりごちながら勝手知ったる玄関で靴を脱いでいると、廊下の先からひとりのウマがひょっこりと顔を出した。

 

「ただいま」

 

そう言うと、ぱぁっと明るい笑顔を浮かべた相手は、そのまま小走りでこちらにやってくると、立ち上がった僕を抱き締め。

「待ってたよ!」と言われるが二週間前も来たばっかなんだけどなぁ…。

 

 

誰も選ばないその背は同じ穴の貉である自分たちにとって、世界一憎くあると共に、世界一…どうしようもない執着を向ける相手でもあった。

 

──僕は、走れるまで走るだけだよ?

 

その背を求め続けてどれほどになるだろうか。

その背がトゥインクルシリーズを戦い抜いた後、ドリームトロフィーリーグで共になってからはより顕著になった。

他の選手たちが『大人になった自分』というモノに折り合いをつけていくなか、ひとりだけその歩みを止めない姿に惹かれたからだろう。

そうして、その背中を追い続けた結果がコレだ。

 

「いや、今日は…昨日から言ってたでしょう?」

 

……自分だけの、モノになればいいのに。





世界で一番憎いって、世界で一番愛してるの間違いでは?

僕:
シルバーバレット。
実質ヒモみたいなことになっているウッマ。
別に暮らそうと思えば暮らせる資金は持っているのだが本人が選ぶ家が揃いも揃ってボロ…なため…?
そして相変わらず家事◎。
一家に一人欲しい系な御方。
でも相変わらず周りからの感情には疎いんだよなぁ…。
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