さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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神様台パン案件。

ほんへより設定の方が長くて草ですよ。


IF:『神すら敵わぬ馬』

ブリーダーズカップ・クラシックを制覇し、日本に帰る。はずだったのだが、

 

「バレット、どうかした?」

「…」

 

頑なにシルバーバレットが動こうとしない。

好きな果物でつろうとしても頑なに動かない。

一緒に来ていた厩務員が頼んでも、テキが頼んでも、もちろん僕が頼んでも、…シルバーバレットは動こうとしなかった。

 

「…仕方ないですね。輸送機の方には申し訳ないですが延期の連絡をして、代わりにバレットの脚の様子を見ましょうか」

 

 

日本に帰るはずだった。

けど、騎手くんに「また日本でな」と撫でられた時、不意に「今はここから動かない方がいい」と直感した。

それまでは従順に振舞っていたのに、急に動こうとしなくなった僕を見てみんなが困り果てていたのは申し訳なかったけれどこれだけは何故か譲れなかった。

 

数十分格闘していると、先にみんなの方が折れて馬房に戻される。

脚の様子を見てもらいながら胸騒ぎが治まるのに小さく息をついた。

 

 

日本に帰りついて、まず背筋が凍ったのはシルバーバレットが乗るはずだった輸送機に墜落する可能性があったことだった。

シルバーバレットがあの時動こうとしなければそのまま墜落していたかもしれないという。

シルバーバレットが動かなかったから、メンテナンスをする時間があり見つかった不具合なのだと。

シルバーバレットに関わるすべての人間があまりにも恐ろしい"もしも"にゾッとした。

 

それはそれとして、日本に帰国したシルバーバレットはたくさんの人に祝福されて、彼の騎手である僕もたくさんの記者の人たちには囲まれてヘトヘトになった。

テキが「今日は疲れてますんで。また後日に」と断ってくれなければどれほど拘束されていたことか。

 

「バレットの引退式は来年だとよ」

「え?」

「盛大にやるってみんな意気込んでるぜ。史上初の凱旋門賞馬サマだからな」

 

日本に帰ってきたバレットは毎日楽しそうに暮らしている。

引退後はどこに引き取られるか分からないが、種牡馬になることは確定しているようだ。

 

「お前の子どもが楽しみだよ、バレット」

「…フヒン」

 

そんな話をバレットにすると気が早いというように嘶かれる。

 

「でもね、キミと一緒に引退するのは勿体ないって言われちゃったんだ。

できる限り騎手を続けて欲しいって、ファンレターもきて…」

「ヒン」

 

また嘶いたバレットは「よかったね」というようで。

彼がやめろというのならそうするつもりだったのに、

 

「いいの?」

「ヒン」

 

当たり前だろ。

僕を真っ直ぐ見つめる最愛の相棒。

その目には心底からの信頼があって…。

 

「…うん。キミが、許してくれるなら僕もう少し頑張ってみるよ」

「ヒヒンっ!」




僕:『まだまだ世界をひっくり返してやるのさ!』

生存軸の姿。『運命』から逃げ切った馬。

引退式では『敗北を知りたい』との横断幕が掲げられるし、馬主さんからは『さよならはまだ言えない』との引退記念曲が贈られた。

種牡馬生活はこれまでの戦績から顧みると格安の値段で始まった(サラ系という血統+体格の小ささという不安要素のため)が、普通に初年度産駒から活躍馬を出したし、値段はそのままほぼ据え置きとなった+受胎率も高かったため「お助けボーイ」ならぬ「お助けバレット」となった。
種牡馬の仕事はさっさとして早く帰りたいというタイプでありつつ、凄くタフでもあった。牝馬にそこまで思い入れがないタイプでもあり、逆に相手した牝馬に引き止められていたこともあったらしい。
種牡馬としてはそこまで活躍馬がいない血統につける方が活躍馬を出す傾向にあったと共にその活躍馬から名馬の血統を繋ぐことが多々あった(ハイセイコー、シンザンなど)。

そういうわけで地方馬には僕の血が入った馬が多数おり、その子ども達が中央に殴り込んでくるため中央に挑戦する地方馬に僕の血が入っていない方が珍しいという状況に後年なる。
また、特段活躍馬がいない血統なのに何で勝ってんの?という馬の血統表を見ると僕がどこかにいるという現象も起こっている。
「特段勝てそうにない血統でもシルバーバレットが入っていたら警戒しろ。シルバーバレットがパッと見血統表にいなくても警戒しろ」とはこの作品世界でよく言われる言葉である。
父時代には良血をつけてもほぼうんともすんとも言わない感じだったが母父になってからは良血をつけても大丈夫になったので活躍馬が多く現れた。
産駒の特徴としては父や母父の特徴をよく引継いだ子が多く、僕の面影はほぼないが桁外れのスピードや僕の父であるヒカルイマイ譲りの差し脚などを受け継がせている。あと僕とは逆に産駒はクッソ丈夫な子たちばかりである。

最終的に競馬ゲームでも現実でも「繋ぎたい血統があるんだったらシルバーバレットつけとけば何とかなる」と言われるようになる。
産駒を牡馬:牝馬で比率を取ると4:6くらい。
海外にも僕の子どもたちがおり、血統地図を塗り替えてたりするやつがいるかもしれない。
子どもたちの性格は基本的に人に従順で大人しく、レースになると闘争本能を出す感じ。
それに加え、日本でパッとしなくても海外で大活躍する産駒が多い。

種牡馬になったあと、偶然出会ったSSとマブダチになった模様。
で、SSと出会ってからイタズラ好きになったと言われるようになり度々世話してくれる人間をからかっているようだ。
SSと会う時に限ってテンションが高くなるとも言われる。
SSも初めは僕のことを「なんだコイツ…」したが距離の取り方が上手い僕にいつしか絆されている。
なお僕が母父になったあとに一番相性が良かったのがSSである。

そして、僕の産駒たちは馬主さんによく引き取られており、シルバーバレット産駒+シルバーバレット母父産駒専用の冠名として「シロガネ」とつけられるようになってたり…。
(シルバーチャンプなどその他は「シルバー」の冠名のまま)
そのためシルバーチャンプの血統から繋がる一族を『銀色の一族』、シルバーバレットの血統から繋がる一族を『シロガネ一家』と呼び分けている。


騎手くん:僕にずっとメロメロ。
サンデースクラッパの面倒を見終わってから調教師となり、シルバーバレット産駒たちの面倒を見始めるようになる。
結構な頻度でシルバーバレット産駒のハーレムを築いており、面倒を見ているシルバーバレット産駒に調教終わりに引き止められたりしてデレデレしている。
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