ふわふわでモチモチの抱き心地◎なヤツらしいです。
「…何です、コレ」
「『抱き締めて!【飛行機雲】くん!』だ」
「はい?」
「『抱き締めて!【飛行機雲】くん!』だ」
「はぁ…」
その日、【飛行機雲】は久方振りに訪れた先輩-シルバアウトレイジに抱き締められている特大のぬいぐるみを見てため息を吐いた。
何がどうなって、このぬいぐるみが先輩の元に届いたのかは定かではないが気持ちよさそうに頬擦りしているのを見る限り、どうやら気に入ったようである。
「コレすっげぇフワフワでさぁ!ベッド半分占領されるけどそれも気に食わないぐらい抱き心地が良くて!」
「…さいで」
「【飛行機雲】も触ってみろよ!ほら!」
「わ、ちょ……!!」
ぬいぐるみを押し付けられた【飛行機雲】は反射的にそのぬいぐるみを抱き締める。
その感触に彼は思わず目を見開いた。
(なにコレ……すごく気持ちいいんだけど)
フワフワとした生地と綿の弾力が疲れた身体を癒してくれるような感覚に思わずうっとりしてしまう。
そして、それを彼に持たせた張本人はニヤニヤと、してやったりとばかりに微笑んでおり、その顔に違う違うと頭を振る。
「違います!」
「わぷっ!」
こ、こんなフワフワで絆されるウマではないですよ僕は!
…などと、ぷ〜っと頬を膨らまし始める【飛行機雲】。
そういうところが可愛いんだよなぁ、と思われていることを露とも知らないのは幸か不幸か。
「俺は幸せだったぜ〜?最近お前が構ってくれないもんだから」
「なっ…!?」
「この【飛行機雲】くんは俺のことギュ〜って受け止めてくれるし?」
「ぐぬぬ……」
ぬいぐるみ(自分がモチーフ)と自分を比べられて、思わず唸る【飛行機雲】。
それを見たシルバアウトレイジは更にニヤニヤと笑っており、完全に彼のことを揶揄っているのが見て取れた。
そんな相手に、【飛行機雲】は顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「僕はそんなフワフワした可愛いものよりも先輩のお役に立てます!」
「へぇ?」
「……な、なんですか」
「いや?お前って意外と…俺のこと好きなんだな」
「は、」
「確かに【飛行機雲】くんはお前を模したぬいぐるみだけどさぁ…」
「あ、」
そこまで言われてようやく【飛行機雲】は自分が何を口走ったのか悟る。
そして、しまった……!と己の口を塞ごうとするが時すでに遅し。
「俺のこと…、へへ」
ニヤニヤと笑いながらぬいぐるみを抱き締めてソファーに転がるシルバアウトレイジにそう言われると、【飛行機雲】は耳まで真っ赤にしてその場に崩れ落ちた。
そんな後輩の姿にゲラゲラと笑い声。
(……クソッ)
「可愛いやっちゃなぁ〜!」
【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
実は案外可愛いものが好き。
今回『抱き締めて!【飛行機雲】くん!』を偶然手にし、いっぱい抱き締め添い寝していた。
でもやっぱり本物が一番可愛かったりする。
【飛行機雲】:
後輩。
自身のぬいぐるみにちょっと嫉妬。
僕の方がソイツよりもお役に立てます!!!!