今度こその、贖罪。
元はざんばら髪だった。
『ちゃンとくくれ。綺麗なんだから』
実父はいた。
けれど、実父は放浪癖のある人だったから。
父替わりに育ててくれたのが"あの人"-爺ちゃんだった。
『ちぃせぇ頃のアイツとは似ても似つかねェなァ』
『じぃ、ちゃ…』
『ン』
綺麗な三つ編みに整えられて。
いわく、自分が生まれた頃には遠に生きてピンピンとしているのが不思議なくらいの歳であったらしいが思い出の中の、幼き日の自分を抱いていた腕はひどくシッカリとしていて。
『お前は、アイツにゃ似てねェ。でも、…"あの方"にはソックリだ』
『?』
『お前がこのまま、まっすぐに育って、じぃちゃん孝行してくれりゃあそれでいい』
『孝行ってなに?』
『……そうだなぁ。大人になって、結婚して子どもこさえて……とにかくじぃちゃんが喜ぶことをするンだよ』
当時の自分には解らなかったが、今なら解る気がする。
独りぼっちで、"あの人"に守られていたところから、最愛と出会って子を成して。
その子が運命の相手と出会って孫ができて…。
「爺ちゃん喜んでくれるかな…?」
*
その子はかつての母によく似ていた。
「は、」
若くして亡くなった母。
本当の名など知りようもなく、ただ便宜上の名で呼ばれていたあの
「あ、あぁ…、な、泣くな、泣くな…!」
ふやぁ、ふやぁと弱々しい泣き声。
久しぶり帰ってきた家の隅で、ボロボロになって蹲っていた幼子。
慌てて粗雑ながらも手当をすれば心底ワケが分からないという目でこちらを見て。
「…おじさんも、ぼくにナニカ聞きたいの?」
そして告げられた言葉にザワリと脊髄が撫であげられた心地がした。
「
にこりと微笑む様は嫌なぐらいに。
「ぼくは、"
かつての母の笑みにそっくりだった。
「え?」
故に。
男はその小さな体を抱き締める。
守ろうと思っていたのに、守れなかった。
だから、今度こそ。
「え、おじさん……?」
「……テメェは、これからどうしたい?」
「どうって……」
「嫌ならその仕事も儂が断ってやる」
「…………」
「絶対に、守るから」
───────。
(今度こそ)
・
・
・
笑うあのヒトが気持ち悪かった。
どんなに手酷い扱いを受けようとも、微笑んでいたあのヒトが。
あのヒトの血を引いたというだけで妹は籠の鳥になった。
弟も大半が縛り付けられた。
何処にも行けない。
何にも成れない。
その中で一番上の自分だけがその籠であり檻から逃れることが出来たのはひとえに歳顔負けの肉体を有していたから。
「死にたくなきゃあ、」
ひと言そう告げると蜘蛛の子を散らすように、普通なら追手になり得ただろう者たちが逃げていくのを後目に。
「自由、か…」
【先祖返り】:
ホワイトバック。
あの日から髪型はずっと三つ編み。
祖父であった【白の大侠客】を父替わりに育つ。
ちな特殊な素養持ちだったり…?
ま、先祖返りの名は伊達ではないということで。
【白の大侠客】:
シロノマガツ。
実は母親が"かの方"なウマ。
弟妹全員線が細く儚い感じな中で唯一筋骨隆々だった。
なので易々と檻を抜け出し"自由"に。
けれど"自由"になったが、なってしまっていたが故の『後悔』もある。
だから、────