さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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いる。



呵呵大笑と笑うモノ

「成仏したらどうだ?亡霊」

「…はは、ひどい」

「いや、悪霊だったな」

「ひどいッ!?」

 

シルバアウトレイジにとって、そのウマは初対面だった。

しかし、それが誰かはよく()()()()()

顔の半分を髪と眼帯で隠す、その小柄な背を。

 

「さっさと隠居なり何なりしやがれ──シルバーバレット」

 

 

きっと、人ごみの中でも見つけられるだろう圧倒的な存在感は否応なく、俺の視線を引きつけた。

 

「シルバーバレット……」

 

それは、俺がかつて視た存在だった。

()()シルバーバレットが、目の前にいる──!

 

「…先輩?」

「っ、」

 

そう釘付けになっていると横にいた後輩-【飛行機雲】に怪訝そうな顔をされる。

…そういや、そうか。

あんな人ごみの中でも"アレ"が分かるのは、"アレ"から始まったと同義である()()()()()

"アレ"の多大なる影響と功績をもって、生まれたに等しい…。

 

「……いや、何でもない」

「?…そうですか」

 

しかし、それはあくまで()()()()()の話。

後輩には関係のないことであり、知る必要のないことだ。

……とはいえ、いつまでもここに居続けるのは良くないだろう。

"アレ"がいるのに、と後ろ髪を引かれる心地はあるが、いつまでもここで立ち止まっているわけにはいかない。

 

「…行くぞ、【飛行機雲】」

「はい」

 

俺は後輩を連れて、その場を後にした。

 

 

「────」

 

その眼を見て、『あ、出会ってしまったんだな』と思った。

それは『夢』に浮かされた眼であり、眩しい『光』に晒された眼でもあった。

……僕には、それが痛いほどよく分かる。

だって、僕も──かつて同じ眼をしていただろうから。

 

「ははッ」

 

そして、僕は笑った。

その眼を見て、僕が何を思ったのかなんて──語るまでもないだろう?

 

 

"アレ"の影響力は凄まじく、瞬く間に街全体へと広がっていった。

それはまるで『疫病』のように蔓延し、誰も彼もがその存在を認知し出した。

一度見てしまえば、囚われる。

逃れるなんて、できやしない。

 

「…、」

 

にこり、と『疫病』は笑っている。

自分がその()だと知ることもないまま。

穏やかに進んでいく世界を愛している。

…そう、まるで『神様』のように。

 

 

───でも、本人はそこまで考えてないんだよなぁ〜…。

 

機嫌よさげに去る足取りは軽やかに。

周り何もかもを少しずつ狂わせながら朗らかに。

"いない"時でも偶像であったのに、ソレが"現存(ある)"となれば…?

 

「今日も明日も、いい日になるといいねぇ…」





僕:
シルバーバレット。
『疫病』であり、『神様』であり、『亡霊』で『悪霊』。
そこにあるだけで少しずつ狂わせていく。
でも当の本人にその自覚はなく、今日も今日とて楽しく日々を過ごしているようだ。
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