いる。
「成仏したらどうだ?亡霊」
「…はは、ひどい」
「いや、悪霊だったな」
「ひどいッ!?」
シルバアウトレイジにとって、そのウマは初対面だった。
しかし、それが誰かはよく
顔の半分を髪と眼帯で隠す、その小柄な背を。
「さっさと隠居なり何なりしやがれ──シルバーバレット」
*
きっと、人ごみの中でも見つけられるだろう圧倒的な存在感は否応なく、俺の視線を引きつけた。
「シルバーバレット……」
それは、俺がかつて視た存在だった。
「…先輩?」
「っ、」
そう釘付けになっていると横にいた後輩-【飛行機雲】に怪訝そうな顔をされる。
…そういや、そうか。
あんな人ごみの中でも"アレ"が分かるのは、"アレ"から始まったと同義である
"アレ"の多大なる影響と功績をもって、生まれたに等しい…。
「……いや、何でもない」
「?…そうですか」
しかし、それはあくまで
後輩には関係のないことであり、知る必要のないことだ。
……とはいえ、いつまでもここに居続けるのは良くないだろう。
"アレ"がいるのに、と後ろ髪を引かれる心地はあるが、いつまでもここで立ち止まっているわけにはいかない。
「…行くぞ、【飛行機雲】」
「はい」
俺は後輩を連れて、その場を後にした。
・
・
・
「────」
その眼を見て、『あ、出会ってしまったんだな』と思った。
それは『夢』に浮かされた眼であり、眩しい『光』に晒された眼でもあった。
……僕には、それが痛いほどよく分かる。
だって、僕も──かつて同じ眼をしていただろうから。
「ははッ」
そして、僕は笑った。
その眼を見て、僕が何を思ったのかなんて──語るまでもないだろう?
*
"アレ"の影響力は凄まじく、瞬く間に街全体へと広がっていった。
それはまるで『疫病』のように蔓延し、誰も彼もがその存在を認知し出した。
一度見てしまえば、囚われる。
逃れるなんて、できやしない。
「…、」
にこり、と『疫病』は笑っている。
自分がその
穏やかに進んでいく世界を愛している。
…そう、まるで『神様』のように。
───でも、本人はそこまで考えてないんだよなぁ〜…。
機嫌よさげに去る足取りは軽やかに。
周り何もかもを少しずつ狂わせながら朗らかに。
"いない"時でも偶像であったのに、ソレが"
「今日も明日も、いい日になるといいねぇ…」
僕:
シルバーバレット。
『疫病』であり、『神様』であり、『亡霊』で『悪霊』。
そこにあるだけで少しずつ狂わせていく。
でも当の本人にその自覚はなく、今日も今日とて楽しく日々を過ごしているようだ。