さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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それがあなたの『幸せ』だって。



愛するあなたのために

「大きくなったら、兄さん/兄貴/兄ちゃん/お兄ちゃんのお婿さんになる!!」

「んんん?待って待って待って?」

 

その日、シルバーバレットは頭の上に?マークを乱舞させた。

シルバーバレットの周りにいるのはシルバーバレットのことが大好きな弟妹たち。

シルバーバレットは、弟妹たちにとても慕われている。

そして、その弟妹たちは、兄であるシルバーバレットにとてもよく懐いている。

それはいいのだが……、

 

「お兄ちゃんがお嫁さんの方なの?というか普通は『パパのお嫁さんになる』とか『ママと結婚する』とかじゃないの?」

「だってお父さん、リリィのこと大好きじゃない」

「あんなおっかねぇ女嫌だ」

「いやいやいや、」

 

そう言いくるめようとしても、弟妹の勢いは止まらない。

むしろ強くなる一方だ。

……おかしいなぁ。

 

「…お兄ちゃんがお婿さんになる方じゃないんだ?」

「お兄ちゃん外に出したら面倒くさそうだもん」

「目ェ離した隙にどっか行くだろ」

「なら家を守ってもらってた方が安心だし?」

「ほら、ね?兄さん」

「いや、それは……」

 

シルバーバレットは弟妹たちの勢いにたじろぐ、が…。

 

 

「押し切られちゃった…」

 

現役を引退してそこそこ。

引退した瞬間に連行された家で僕は主夫業に勤しんでいる。

家の住人はもちろん弟妹たちで、幾人かは地方や海外にいてあまり帰ってこないけれど。

それでも、この家は賑やかだ。

 

「ごはんできたよー!」

「はーい」

 

ぱたぱたと普段着の妹がやってくる。

もうすっかり大人になった彼女は、とても美人で……、正直兄ながらちょっと心配なくらいドキッとする。

妹と結婚したいなら僕の屍を越えていけ!って感じに。

 

「いただきます」

 

きょうだい全員が住めるように建てられたこの家はデカい。

そして何がヤバいって敷地内に思う存分走り回れる場所があったりね。

買い物だって外で仕事してる子らが買って帰ってきてくれるし。

 

(…いや、ホントに主夫してんな)

 

 

弟妹たちにとって、『シルバーバレット』という兄はどこか不安定だった。

目を離した隙に霞になってしまうような、そんな不安があって。

だから、昔からシルバーバレットを家から出さないように引き止めていたし、彼が外に出るなら着いて行った。

 

「アイスでも買う?」

 

だが兄本人はまさか自分が弟妹たちにそう思われているとは一ミクロン足りとも思わない。

だから、実質監視役の弟妹に『いいお兄ちゃん』であろうとし…。

 

「美味しい?」

「ん」

「よかった」





僕:
シルバーバレット。
家の外に出したらどっか行きそうだからそうならない為に家にいてくれ!される系兄。
『あの父母のどこからこんなのが…?』と思われてたり思われてなかったり。
弟妹たちがブラコンであるように、コイツもブラコンシスコンであるため…幸せそうだな(こなみかん)。
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