さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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一族全員料理上手いんだ。



好きこそ物の上手なれ

元より稼いでいるのはそうだが、走ること以外に大して興味のないシルバーバレットが唯一凝るのが『料理』だった。

そもそも実家時代から祖父、母が料理上手で、父も手ずから家庭菜園(…と言っていい規模なのかは諸説あるが)であれこれと作っている家庭だったから自ずと舌が肥えていた。

それに、下にたくさんの弟妹がいたのもあって自然と母が忙しい時におやつや食事を作ってやったりしていたものだから、料理自体は嫌いではない。

むしろ好きだ。

 

「…ん〜?」

 

ただ、シルバーバレットは凝り性なので、誰かに料理を作るとなると自分の納得のいく味になるまではとことん追求してしまうのだ(しかし自分が食べる分に関しては父譲りに食べれさえすればいいという思考である)。

 

「う〜む、」

 

カチャ、と棚を開ければそこには壮観なまでに集められた調味料の数々。

そのどれもが一般家庭の料理に使うには中々に高価で、尚且つ普通の店では手に入らない入手困難なものばかり。

 

「やっぱ、コレ使うか」

 

シルバーバレットが手に取ったのは実家時代からよく慣れ親しんだ醤油…。

あの頃は好き勝手使ってたけど、後々調べてみるとウチん家が個人的に取引してただけで基本は老舗とか…そういうお店にしか卸していないらしいものだとか。

凝り始めてから何度も聞いた同じような話に『ウチん家、料理好き過ぎだろ。それも作る方』と呆れてしまう。

 

「まぁ、いいや」

 

シルバーバレットは醤油を目分量で鍋に流し込み、火をかける。

するとすぐに香る匂いに『うん』と頷く。

実家にいた頃、母がよく作ってくれた料理を思い出すような懐かしい香りだ。

 

(お袋の味……ってヤツかな?)

 

自然と笑みが溢れるのを感じながらもシルバーバレットは具材を鍋に放り込む。

自分が食べる分だけなので切り口等が適当だが、まぁいいだろう。

 

「多少雑でも美味しいしね」

 

鍋をかき混ぜながらシルバーバレットは鼻唄を歌う。

「ふ〜んふん♪」と機嫌よく口ずさみながら味見をしてみればちょうどいい塩梅で思わず笑みが溢れる。

 

「……うん、上出来」

 

そして火を止めればあとは取り出した食器に盛って。

 

「いただきます!」

 

 

「…すげぇな」

「何がぁ?」

「いや、…食器とか調理器具とか調味料とか」

「でも美味しいでしょう?僕の料理」

 

何気なしに僕のキッチン()を覗いたらしいマブが呆れたような、感嘆したような息を漏らす。

 

「いや、美味いんだけど……なんつーか」

「?」

「……お前の家って、マジで料理屋かなんかか?」

 

僕は思わず首を傾げる。

そんな僕の反応にマブは『え?違うの?』とでも言いたげな表情で僕を見るから。

 

「ふつ〜の、一般家庭ですけど…?」





僕:
シルバーバレット。
自分が食べる分は適当だが、誰かが自分の料理を食べると考えると途端に金に糸目をつけなくなる一族の子ども。
なので黄金律EXで増えまくる資産は寄付以外大概が料理関係に費やされている模様。
だって、『美味しい』って誰かが言って、笑ってくれるのが好きなので…。
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