さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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それは、誰を守るためなのか。



一番怖いのは

シルバデユールの同室であるシルバープレアーは元々がそういった星の生まれなのかと言いそうになってしまうくらい、絡まれやすい体質だった。

澄ました顔が気に食わない、だとか、調子に乗っている、だとか。

そんな理由で秘密裏に呼び出されては相手が満足するまで特に何もせずただジッと見守っては一発もらって帰ってくる。

何とも言えない気持ちになりながらそのたびに治療を施す日々が続いたある日、ふとした疑問からつい口を滑らせてしまったのだ。

 

「……ぷ、プレアーさぁ」

「はい?」

「あ、あの先輩たちに、な、何かしらされるって、わ、分かってるんでしょ?だったらなんで、わ、わざわざ呼び出しに応じてるの?」

「…………」

「そ、それに、ここここんなに怪我してたら、せ、先生にもバレちゃうし……。だ、だから、ぼ、僕としてはや、やめて欲しいカナ〜って、お、思うんだけど……」

「…………」

「プ、プレアーさん?」

「…………」

「えっとぉー……」

「……」

「きゅ、急に黙らないでよ!」

「……いえ、別にそういうわけでは。少し考え事をしていただけです」

「考え事!?今この状況で!?」

「はい。それで、先輩の呼び出しに応じるなって話でしたっけ?」

「そ、そうそう」

 

だって、シルバデユールは心配なのだ。

いつもどこかしらに痛々しい痣を作って帰ってくる同室が。

また大切な後輩の体の、他人には見えないところを狙ってやるのが小賢しいと内心ハラワタが煮えくり返っているのもあるのだが。

しかし一番の問題はそこじゃない。

シルバープレアーは自分の身を守る術を持ち合わせていないのだ。

だからこそ余計に危ないと思う。

ので、シルバデユールは心配しているのだが。

 

「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ、先輩」

 

 

本来ならば。

こうやって呼び出されたり何だりするのはシルバープレアーの役目ではなく、同室であるシルバデユールのはずであったのだ。

がしかし。

そうであるならば今のこの現状は何なのか。

それは。

 

(僕よりもデユール先輩の方がずっと怖いんですよね〜、この方々はそれに気がついていないけど)

 

たしかに、シルバデユールはオドオドとした性格だ。

非常に人見知りであるし、また声も小さい。

格好の的になるだろうことは目に見えている。

だがそれを差し引いたとしても。

シルバデユールというウマは強い。

弱そうなんて、とんでもない話であった。

確かに体格的には恵まれてはいないかもしれないが、それでも自分の身を守れる程度の力はある。

ただそれを表立って出さないだけであって。

また、

 

(デユール先輩は怖がりだから。…怖がりだからこそ危ないんだよ)

 

怯えやすいタチであるが故に。

恐怖してしまったが最後、タガが外れてしまう。

自分の身を守るために、手加減を忘れて相手をこらしめてしまうのだ。

そしてそれがエスカレートすればどうなるかなど火を見るより明らかで。

だから。

 

(これも仕方ない、か…)





同室組。

【銀の祈り】:
シルバープレアー。
絡まれやすいタチだが絡まれても塩対応しまくるし、特段何も気にしていない。
でも怪我の手当を毎回同室である【純なるサラ系】にしてもらうのには「ご迷惑を…」と思っている。

【純なるサラ系】:
シルバデユール。
【銀の祈り】の先輩であり、オドオドとした性格のウッマ。
だが怖がりであるが故に一度スイッチが入ると中々止まらずバーサーカー化してしまうので、それに勘づいている【銀の祈り】に人知れず庇われ、肩代わりされている。
でも【純なるサラ系】自身は、自身のその素養に気がついていないため、ほぼ毎日どこからしらを怪我して帰ってくる【銀の祈り】にヤキモキしている模様。ちなやる時はやる御方である。
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