さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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だから、───邪魔しないでよ。



ふたりで『幸せ』

アウトローなシロガネツーパックと大人しいサイレンスヘイローは周囲の見解に反して対等で、仲がよかった。

 

「…また、喧嘩?」

「げっ、」

「トレーナーさん、心配…」

「わ、わぁってる、が…」

 

はじめは、仕方なしの同室。

双方互いに家庭に難があり、その問題が影を落としたこともあったが。

 

「だァから、俺はなァ! アイツを心配してんだよ!」

「それにしては、随分と回りくどいやり方をしたね?」

「あ゛ぁ!?」

「サイレンスヘイローは、キミに『嫌われている』と誤解していたぞ」

「……チッ……」

 

だが、徐々に情が移る。

はじめは嫌々ながらも共に暮らし、共にトレーニングを行うことで互いに心を開きあい、喧嘩もできる間柄となった。

がしかし。

 

「サイレンス」

「…」

「ん」

 

気づけば共依存。

似たような境遇を持つふたりは自身に残る消えない"疵"を、互いで埋め合って。

 

「サイレンス」

「……なに?」

「好きだ」

「……っ、わ、私も……好き……」

 

互いの疵を互いに舐め合い、慰め合う。

そんな関係がズルズルと続いてしまった結果が──このザマである。

 

(……どォしてこうなっちまったかなァ……)

 

親愛なる我が勝利の女神サマ(トレーナー)に向ける感情とはまた違ったモノ。

まるできょうだいのようになりながらも、互いに互いが自分から離れるのを許さない。

 

「サイレンス」

「ん、なぁに?」

「……いや、なんでもねェよ」

 

それはまるで、恋人のように。

 

(……はァ……)

 

そんなふたりを見て──かつてふたりをトレセン学園にスカウトしたシルバーバレットはため息を吐いた。

 

(でも、仲良きことは美しきことかな)

 

それは羨望か、それとも呆れか。

それともその両方なのか。

どちらにしろ──シルバーバレットにとってこのふたりは、とてもじゃないが放っておける子ではなかったから。

 

「や、ツーパック」

「……なンだ?」

「ふたりとも、そろそろ進路を考えなくちゃあいけないよ。キミたちの進路希望表が来ないって、先生たちも困ってるみたいだし」

「……」

 

それはシルバーバレットなりの気遣いだった。

今のままではダメだと──ふたりを想うが故の言葉であったのだが……。

 

(まァ、そう上手くはいかないよねぇ)

 

みんな、ふたりのことを想っているけれど。

ふたりにとっては知ったこっちゃないのだ。

でも、ふたりが言うことを聞く相手はふたりの面倒を見るトレーナーや、シルバーバレットを含むチームの人々だけであるので、その経由でどうにかしようと画策されているようだが。

 

「けどあの子たちはもう、お互いがいないと…」

 

─────『幸せ』じゃ、ないんだよね。





【雷撃の豪脚】&【敬虔なる天使】:
シロガネツーパック&サイレンスヘイロー。
家庭環境激悪から銀弾に救われてトレセン学園に入学したウマs。
何だか薄暗く退廃的。
トレーナーのこと好き好き!勢ではあるが同室として過ごす内に共依存になっちゃった子たち。
またきっかりお互いが『世界』な感じで生活しており、そんなふたりをどうこう出来るのはトレーナーやふたりの面倒を見ているチームの人々しかいないらしい。
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