さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ふたりそろって。
泥沼に足取られ。



叫んで止まぬラブコールを

乞われた。

だから返した。

 

「奪いに来て」

「欲しいなら──奪いに来て」

「勝って、完膚無きまでに…勝って、僕を───」

 

浅ましいとは、分かっていた。

どうやったって、僕は"あの人"になれない。

でもどうしようもなく憧れてしまった。

妬んでしまった。

羨ましかった。

いつまでも、…()()()()、誰の記憶にも遺って、()()()()、"あの人"が。

……羨ましかった、のだ。

故に。

 

「僕を──奪い(殺し)に来て」

 

求めて、しまった。

本当は、()()()()に囚われるべき相手ではなかったのに。

それは勘違いだって、正しい道へ導くべきだったのに。

その機会は、もう永遠に喪われた。

だから僕は、僕の全てを賭して、()()()()()…奪いに来て、もらうのだ。

……浅ましいと、分かっていても。

 

「僕を──」

 

そう願うことが、今の僕に出来る唯一だった。

 

「……ああ」

 

静かに頷いてくれる姿にジクジクと胸が痛む。

「冗談だ」と言ってくれれば、まだ引き返させてあげられたのに。

そんな簡単に頷くなんて。

……本当に、バカで、優しい人。

だから僕は──キミが良いと…思ってしまったんだ。

 

「──────」

 

その優しさに甘えさせてもらおう。

その優しさで、形振り構わず、惨めったらしく。

 

「──僕を、」

 

()()()()()

 

 

「僕は、キミが欲しい」

「だから約束通り…!」

 

そう告げて、キミの隣に並ぶとキミは嬉しいような、またはひどく悲しいような顔をした。

 

(そんな顔、しないでいいのに)

 

何を、不安に思っているのだろう?

僕がそんなにも不甲斐なく見えるのだろうか?

…いや、そりゃあ生まれてこの方、ここまで本気になったのはキミが初めてのものだからみっともなかったと言われればそこまでだけれど。

しかし、

 

(…僕のこの気持ちを、軽んじるな)

 

最後のひと押しをしたのは他でもないキミの癖に。

『求めてこい』と、餌を吊り下げたのはキミの癖に。

こんなにまで…夢中にさせた癖に。

 

(いまさら?)

 

今さら、キミは何を不安に思っているんだ。

僕の何がいけないというのだろう? ……いや、違うか。

 

(僕()──悪いのか)

 

僕が、あまりに不甲斐ないから。

だからキミはそんな顔をするのか?

そんな顔をさせてしまうくらいに僕は弱かったのか?

 

(ああ、そうか)

 

それがいけなかったのか。

『弱さ』とは即ち『罪』だ。

 

(なら……)

 

その『侮り』を、…()()するといい。

キミが目覚めさせた僕は、そう可愛いモノじゃなかったんだ、って。

…とは言っても。

 

(キミがどれだけ、泣けど喚けど)

 

───もう、離すつもりは無いんだけどね。





【戦う者】:
サンデースクラッパ。
"あの人"に憧れているが、"あの人"になれないこともまた分かっている。
だが"あの人"のように『求められたい』という気持ちがいつからかあり、それが遂には。
とは言え、【栄光を往く者】に対して我が身を差し出しつつも予防線を張っているとか。

【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
焼かれちゃった!
自分の意思でそう決めたのに、そう決めさせた張本人が常々『やめてもいいんだよ?』って目で見てくるので情緒ぐちゃぐちゃ。
何がどうあれキミのせいなんだが????

────責任、取れよ。
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