さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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きっと、元は銀弾にやってあげたかったこと。





「わ、」

 

指をかけたところからパサリと解けた編み込みに、やられた側のサンデースクラッパは顔を顰めた。

 

「なにするのさ」

 

文句を言うのはもちろん共にいるグローリーゴアに。

「せっかく誠さんがしてくれたのに…」とボヤきながら手櫛ですべての編み込みを解いていく。

単なる三つ編みではない、この形になるまで時間がかかるだろうなぁと一目見ただけで分かるソレにグローリーゴアが手をかけたのは総じて…、

 

(なんか、嫌だ)

 

()()()()()()()()、からか。

確かにサンデースクラッパは愛されているウマである。

傍目から見ても、分かるほどに。

ツヤのある髪に尻尾、そして屈託のない笑顔。

それだけでサンデースクラッパが愛されるウマであることは、誰が見ても分かるだろう。

だが、グローリーゴアは気に食わないのだ。

その毛並みも尻尾も髪も、全て()()()()()()()が時間をかけて作ったモノだと知っているからだろうか。

 

(……いや)

 

違うなとグローリーゴアは思い直す。

「はぁ……」とため息を吐くサンデースクラッパにグローリーゴアは言う。

 

「そっちの方がいいよ」

「どこが???」

 

編み込み出来る髪ならその長さは自明の理で。

解かれた髪ほど邪魔なものはないだろうが。

グローリーゴアにはそんなサンデースクラッパがひどく…綺麗に見えたのだ。

編み込みなんて()()()()()()じゃなくて、解かれた()()()()()()姿()が。

 

「こっちの方がいい」

 

グローリーゴアがサンデースクラッパを撫でる。

「ちょっと!ボサボサになるだろ!」とサンデースクラッパは抵抗するが、まぁ呆気ないモノで……。

流された髪が肩口から流れ落ちる。

 

「…もう」

 

編み込みの跡が着いた髪は少しばかりうねって。

 

「ね、」

「うん?」

「くくってよ」

「え、」

「だって、キミが解いたんだろう?」

 

ほら、と髪ゴムを渡される。

 

「え、えぇ……」

「早く」

 

グローリーゴアは困惑しながらもサンデースクラッパの髪に手を伸ばす。

幼い頃から短髪で、それを今も続けている人間には分からないだろう。

髪を結ぶという行為が、どれだけ難しいことかを。

 

「…」

 

そして、出来上がったのは…不格好なポニーテールであった。

 

 

「くくらないの?」

「わっ!?」

 

さり、と首を撫でた指先にサンデースクラッパは悲鳴をあげる。

がしかし、それが誰か分かると一転して睨みつけた。

 

「キミのせいだろ…!」

「何のことやら」

 

にこり、と美しく笑むグローリーゴア。

けれどもその目には隠しきれない愉悦があり…。

 

「…何日経てば、消えるだろうねぇ?」

「ッ!」

 

くるりと爪先が弧を描く。

ずっと伸ばしている髪は容易に首を隠してはいるが煩わしいったりゃない。

でも…できないのだ。

 

「くくればいいのに」

「子どもに見せられるワケないだろ!!」





【戦う者】:
サンデースクラッパ。
馬時代から担当厩務員であった灰方誠(旧姓:白峰)の手によって、綺麗な編み込みがされていたウッマ。
ウマ軸では肩甲骨ぐらい普通に越える流さしてるし、歳を経るにつれて芦毛のグラデーションがかかり始める。
また編み込みバリエーションの中には某運命/の青剣士の髪型もあるかもしれない。…可愛い。
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