さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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親子三代、勝負服と共に勝負髪があるヤツ(とはいえ一族なら同じ勝負髪にされるのですが)。



見ただけで分かる

「…かったりィ」

「…先輩?」

「あ゛?」

「何でその格好してるんですか!?」

「……やっぱキツいか」

「いえ、よくお似合いですよ!?でも、」

「写真撮影ってヤツだ。ほら、俺の血筋って人気だから」

 

その日、先輩の部屋に訪れると現役時代の勝負服を来た先輩が。

少々雑…というか粗野な感じがする御方ではあるが勝負服姿を見ると『良家ェ…』ってなるんだよね。

当人は「こんなカッチリしたヤツよりラフなのがよかった」と愚痴っていらっしゃいますが。

 

「ティーンの時の服着せんなっての」

「そうは言っても数年しか経ってないでしょう?それに先輩あの頃とあんまし体重変わってなさそうだし」

「おま、体重の話って。デリカシーってもんがねーのかよ」

「あ、すみません。でも先輩、食べても太らないタイプみたいですし……ほら!今も腹筋割れてるし!」

「触ンな」

 

ぺたりと先輩の腹に手を当てると強めの力で振り払われた。痛い。

 

「……で?色々と分かりましたけど、何でそんな格好してたんです?」

「あー……いや、その……」

「はい?」

 

言い淀む姿に首を傾げると、

 

「…爺さんの方から頼まれて」

「……はぁ、」

「おふくろなら『恥ずかしい!』とか『雑誌出るまで待ってろ!』とか言えたんだがな…。爺さんには昔からよくしてもらってっから」

「なるほど」

 

先輩って意外とお爺ちゃん子だよな。

 

「…なんか、変なこと思ってないか?」

「いやいや」

 

 

きっちりと結われた髪は勝負服ならぬ勝負髪で。

故に現役の頃は親父も、また祖父も同じように髪を伸ばし、同じ髪型に結われていたというのだから筋金入りだ。

 

「よォこんな結い方できるモンで」

 

それもサポート役自らだ。

大ベテランであるそのサポート役は過去"かのウマ"を担当していたというからチームのヤツらは例えどんな荒くれ者でもその人に逆らえなかった。

 

「こんなもんか」

 

鏡に映るのは現役時代によく見た自分の姿。

髪も結い、勝負服を緩ますことなく着た自分。

 

(……やっぱし、似合わねェ)

 

自分で言うのも何だが俺はガラが悪い方だと思うし、何よりこの三白眼と顔立ちだ。

こんな格好しても滑稽なだけだろうに。

 

「まァいいさ。これも仕事だしな」

 

そう自分に言い聞かせて控え室から会場へと足を向ける。

 

「久しぶり、レイ」

「ん、親父」

「元気か?」

「は?爺さん!?何で…」

「そりゃあ俺も一族だしなぁ」

「なら俺写真送らなくてもよかったじゃねぇか!!!!」

「カッコよかったぞ〜。…うん、やっぱ先輩に似たな、レイは」

 

雑誌のための写真撮影です、とは言われていたが居るとは思っていなかった祖父の姿に驚いてしまう。

 

「爺さん…アンタもう隠居の身だろうが」

「なにおう!まだまだ現役だ!」

「…へいへい」

 





髪型:
元は【戦う者】にチームのサポーター役である、ある人が施したもの。
今では勝負服のみならず、その髪型を見れば「あ、銀系列だ」と分かるぐらいには有名だとか。
それはそれとしておいそれと頭を搔けないぐらいには髪型が凝っているらしい。
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