年老いた者ゆえの不安。
「僕のこと、見つけてくれるかな」
「あ゛?」
「ほら、だってこんな歳になっちゃったじゃない」
「可愛いぞ」
「ありがと、リリィ」
あの賑やかだった家族の中で今も生きているのは長子である自身と母だけ。
周りが言うには両方その歳とは思えないぐらい若々しいとのことだが、自分の体のことは自分が一番よく分かっているのだ。
「でも、リリィは歳を取らないね」
「ンなワケねぇだろ」
「でも羨ましいなぁ……」
「お前だって不老不死みたいなもんだろが。 ほら、毎日のトレーニング量言ってみろよ」
「あはは……そうだねぇ。そうなんだけどさぁ」
「……どうした?」
急に僕の元気が無くなったことに疑問を感じたのか、リリィが顔を覗き込んできた。
その美しい顔に思わずドキッとしてしまう。
…そりゃあ、こんな美人さん、父さんが一目惚れするのも分かるわ。
我が産みの母ながら、今でも口説かれることがあるみたいだからねぇ。
それはそれとして。
「ほら、この年齢じゃない?」
「あぁ……。まぁ、な」
リリィが僕の気持ちを汲んでくれたのか、それ以上は何も言わなかった。
そう、僕はもう戦えないのだ。
みんな敬ってくれるのはいいけれど、「ケガしたらどうするんですか」とか「突然倒れたりなんかしたら」とか。
いくら歳をとったとは言え、年齢以上には動けるというのに…。
そんな想いとは裏腹に、みんなの心配を無下にすることなんて出来ないから、いつしかただ生きているだけになった。
あーあ、ホントに自分が自分で嫌になって仕方がなくなっちゃう。
「……ほらよ」
「え?」
すると突然リリィが僕の頭に手を乗せてきた。
その意図がよく分からずに彼女の顔を見やると、ゆっくりとやさしく撫でられる。
昔はワシャワシャと、どっちかと言うと乱暴な手つきだったそれは今となっては嘘のように穏やかで。
「リリィ?」
「お前はよく頑張ってるよ」
「……うん」
「なら、ちょっとぐらい休んだっていいだろ?」
「そう、かな…?」
「あぁ」
*
自分ほどではないにせよ、長子もだいぶ歳がいったものだ。
歳若いのに敬われると、ブーブーいう仕草がかつてのようでバレぬように笑ってしまったのはバレてなかったらいのだが。
そう考えるホワイトリリィにも…年相応の悩みはある。
それは、
「…アイツ、分かってくれるかな?」
遠の昔に見送った最愛の伴侶のこと。
自分よか半周りほど歳上の相手だったが、現状、その相手よりもずっとずっと歳上になってしまった自分…。
恋は盲目だ。
それも「来世もまた」と誓った相手なのだから、なおさら。
しかし、年老いた自分と自分と比べると若い相手……。
その差は埋まらないし、埋めようとも思わない。
だから、彼女は願うのだ。
「いつかあちらに行った時、どうかアイツが自分に気づいてくれますように」と。
この一族は年老いても大概若々しいし、基本見送る側だったりする。
なので日々「自分のこと分かってくれるかな」って気持ちに苛まれている。
そのため若々しさを保つために色々と頑張るけども、その努力ゆえに口説かれたりも…。
しかもみんな実年齢知っても諦めないからね。
…う〜ん、大変そ。