さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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いつか、本気に。



告白

とたとたと帰路に着く。

その足取りがいつもよりふわふわしているのは…きっと、あの光景を見てしまったからだろう。

 

『好きです!付き合ってください!!』

 

それ自体はありがちな告白劇だった。

夕暮れ時で、赤っぽいオレンジに染め上げられて、校舎裏はロマンチックな雰囲気が漂っていた。

 

「あるんだぁ…ああいうの」

 

まぁ、珍しくはない話だという。

そりゃあ同年代の子の大半が寮生活する学園だ、中にはそういうこともあるだろう。

しかし、いざ目の前で見てみると……なんだか妙に落ち着かない。

 

「はぁ……」

 

ため息がこぼれる。

別に、羨ましいとか妬ましいとか、そういうわけじゃない。

ただ……なんていうか、ちょっとだけ。

 

「……帰ろ」

 

とはいえ、いつまでもここで突っ立っているわけにもいかないので、僕は自分の部屋があるアパートへと足を向けた。

 

 

「あ〜…、なるほど」

 

それから、なんとなく気になってパラパラと生徒手帳をめくったところ。

 

「不純異性交友は、とはあるけど」

 

法律の穴をついた、みたいな?

 

「恋愛禁止、とは書いてない。……と」

 

生徒手帳にはそう書いてあった。

つまり、別に悪いことではないのだろう。

トレセン学園に通う生徒というのは、ウイニングライブ等の形式上、どこかアイドルのような立ち位置に立たされる。

そのためメディアの目もあるから、ひっそりとするだろうし。

 

「まぁ、僕には関係ないか」

 

 

そういうのが気になるお年頃。

なのでどこからか流れてきた噂を、さも自分が知っているかのように話す。

 

「ねぇ、聞いた?あの話」

「なになに?」

「あれよ、あれ!例の……告白のやつ!」

「あー、アレね。うん、知ってる知ってる」

「それでさ〜……」

 

とまぁ、そんな感じで広がっていく噂話。

ただ、僕の耳には入ってこない。

というのも、僕は今それどころじゃないからだ。

 

(あ゛ー……)

 

机に突っ伏して呻く。

 

(いやいや、アレはただの戯れだろう?この年齢特有の!)

 

そう自分に言い聞かせるが、どうにも腑に落ちない。

 

(だって……あんなの)

 

思い出すのはあの光景。

夕焼けに照らされた教室。

全身を夕焼けに赤く染めて、照れたように微笑むあの子の姿。

そして、困惑する僕の手を取って、恭しく───。

 

「〜〜〜〜!!!!」

 

思わず机を蹴りあげてまで勢いよく立ち上がりそうになったのを、太ももを強くつねることで制する。

 

「痛っ……!!」

 

じんじんと痛む太もも。

しかし、おかげで少しは冷静になった。

 

(落ち着け、落ち着け)

 

そう自分に言い聞かせる。

 

(別に、あの子に明言されたワケじゃ…)

 

そうだ。

あんなのはただの遊びだ。

よくある告白ごっこだ。

 

(だから……僕が気にするようなことじゃない)

 

そう自分に言い聞かせて、僕は再び机に突っ伏した。

 





僕:
シルバーバレット。
いちおう照れるぐらいの心はある。
でも「ないないない!」って思ってる。
だが…?
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