さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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私だけの、あなたでいて。



『宝物』

好きな相手のかっこいいところを見たい…というのは万国共通であると思う。

そしてそれが元々メディアに露出していた人間であるならなおさら!

 

「…!」

 

当の本人は恥ずかしがって話も何もしてくれやしないから、ひょんなことから見つけたソレはホワイトリリィにとって───。

 

 

男-ヒカルイマイは、自身の過去についてあまり語らない。

ほんの一時、少しばかり話題に登った…程度のことをわざわざ自慢するような恥ずかしい人間ではなかったし、そもそも語るようなものでもない、と。

しかし、それはあくまでヒカルイマイの視点から見た場合である。

 

「……」

「……」

「な、んだ」

「いや」

 

ふとした時に妻であるホワイトリリィが己を見てくることに少々うろたえるヒカルイマイ。

何故ならヒカルイマイは初対面で彼女に告白したぐらいにゾッコンであるため、彼女のやることなすことにはめっぽう弱かった。

 

「別に」

「……そうか」

 

好きな女の前ではカッコよくいたいのが男のサガ。

なので普段からカッコつけるし、硬派を気取る。

…ま、手と手が触れ合った際に顔を真っ赤にして飛び退くのはご愛嬌ってことで。

 

「……」

「なんだ」

「いや」

 

だが。

そんなヒカルイマイのカッコつけ(努力)は、ホワイトリリィには効かなかった。

それどころか、むしろ逆効果であった。

 

「……ふは」

「?」

 

ホワイトリリィはニヨニヨとしながらヒカルイマイを見てくる。

それはまるで愛おしいもの、というよりかは必死に大人びようとする幼子を見るかのようで……。

 

「……なんでもねぇなら見るな。その、恥ずかしいだろ」

「ふひ」

 

 

その古い雑誌はまたたく間にホワイトリリィの『宝物』と相成った。

そこそこな年代物の、ちょっと雑に扱うと今にもページが脱落しそうな雑誌。

それをホワイトリリィは、大事に大事に……まるでいっとう大事なぬいぐるみにするように抱き締める。

 

町の昔ながらの古本屋で見つけた一冊。

遠に廃刊となった雑誌の、毎月刊行していた内の一冊。

その一冊の中の数ページに…若き日の愛しい人が載っていた。

トレーニング終わりなのだろう、汗を拭っている姿に取材が煩わしそうな姿。

むかしむかしの、ホワイトリリィの知らないヒカルイマイの姿────。

それが悔しいような、知れたことが嬉しいような。

矛盾した気持ちで、ホワイトリリィは今日も、秘密裏にその部分を指先でなぞる。

ざらりとした紙の質感はいずれつるりと掠れてしまうのだろうけれど。

 

(私の、私だけ、の)





自分が知らない時代のあの人を秘密裏に『宝物』にしちゃう健気な【白百合】とカッコつけたい【電撃の差し脚】さん。
たぶん『宝物』のことが露呈したら【電撃の差し脚】さんは恥ずかしさのあまり捨てようとするけど、愛しの【白百合】にめちゃくちゃ泣かれて「お、おう…」ってなると思う。
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