さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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誰も彼も花なんだよなぁ。



咲き誇り、

アレは一輪の花だった。

周りすべての栄養を吸い尽くして、枯れ果てさせて、綺麗に咲き誇る一輪の。

もしかすると薔薇のようにトゲだってあるのかもしれない。

誰も触れさせないように、手折ることを許さぬように。

 

『咲いた花は散るが定め』と人は言うけれど、その花が散ることを人は許さなくて。

たかが花だと言えないくらいに、その花が散った時にみな泣くのだ。

 

光る場所に煌々と、燦燦と咲いていろ。

日陰にいることなぞ許さないと似ている花を移し植える。

 

「…とか言っても、日陰の方がよかった花もあるかもしんねぇのにな」

「何の話ですか?」

「いや、こっちの話。テキトーに考えてたヤツだからお前には関係ねぇよ」

「……はぁ、」

 

貰い物の観葉植物を世話しつつ、そんなことをつらつら考えていたワケだが少しばかり口について出ていたらしい。

不思議そうにこちらを見やる後輩-【飛行機雲】に何でもねぇと手を振れば「そうですか」と納得してはいないが、深くは追及しないといった様子で頷いた。

そしてまた観葉植物に向き直り、せっせと水をやっている。

 

「つーかお前、なんでここにいんの?」

「え?先輩が言ったんじゃないですか!『暇なら手伝え』って!」

「……そうだったか?」

「そうですよ!もー……」

 

ぷんすかと怒りながら【飛行機雲】がこちらをジト目で見てくる。

そんな顔をされても困るのだが……いやマジで。

気づけば互いの部屋の合鍵を持つような関係である。

故に【飛行機雲】が俺の部屋にいるのは別段珍しいことではない。

ただ、今日はそういう日ではなかったはずだ。

 

「お前今日ってオフじゃなかったか?」

「そうですよ?だからこうして先輩の手伝いをしてるんじゃないですか」

「いや、それはありがたいんだが……何か用事があったんじゃねぇの?」

 

そう問えば、【飛行機雲】はキョトンとした顔でこちらを見ていた。

まるで何を言われているのかわからないといった様子で、首を傾げてみせる。

そして少し考えた後に口を開いた。

 

「……先輩と一緒にいられるなら、構わないんですけど」

「お前なぁ……」

 

少し照れくさそうにしながらそんなことを言う【飛行機雲】に俺は思わず頭を抱えた。

こいつのこういう言動には慣れたつもりだったがまだまだ甘かったらしい。

いや、俺がチョロいだけか?

どっちだ?

 

「先輩?」

「……何でもねぇよ」

「そうですか?」

 

クスクスとこちらを見る【飛行機雲】から逃げるように視線を逸らす。

そんな俺の行動を見て、またからかうような顔をするもすぐに切り替えて観葉植物の世話を見始める姿には思わず感服しそうになる。が、

 

「そろそろ飯食おうぜ」

「はい」





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
つらつらと考えているがキミも花側だよ?
たぶんトゲのあるタイプの花。
激情だからね、仕方ないね。
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