さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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だから愛して。



いつか同じ

ウチの家系は愛情深いが、そのぶん嫉妬深かったりする。

僕はまぁ…仕方ないか、って思うけど、中には自分以外に視線を向けてたとか、困っているところを助けてたってだけで嫉妬してた人も中にはいるようだから。

 

(…でも、『愛』ゆえなんだよなぁ)

 

自分の愛する人がとっっっても魅力的だから、誰かに取られるんじゃないかって。

だから、不安になって嫉妬する。

それはとても普通の感情だと思うから、僕はそんな自身にも脈々と受け継がれている因子を…嫌いにはなれない。

 

「はぁぁ……『好き』って難し」

 

 

さすがの僕でも、求められれば答えるってワケで。

はじめは友人の延長線だとしか思わずとも、月日を経ればちゃんと自覚だってするし、大切だと思うのだ。

 

「おはよう、母さん」

「お?おはよ。今日は早ェな」

「……まぁね」

 

母さんはいつものようにキッチンで朝食を用意している。

僕はそんな母に挨拶をしつつ、テーブルへと座った。

 

(……さて)

 

今日は長期休みの内の一日だ。

学校はもちろん休みで、時間は午前7時前と普段よりもやや遅め起きたためか、父さんの姿は見えない。

きっと普段通り畑の世話に行っているのだろう。

 

(……今日くらいはちゃんと、)

 

ちょうど休みだし。

長期休み、まだあるし。

こっちに来る資金は出すし、ウチは空き部屋たくさんあるからあわよくば…。

 

「…ごちそーさま」

「ん。…今日はたくさん食べたな」

「そう?」

 

それから。

歯磨きとか洗顔を終えて、部屋で携帯を前に考える。

新幹線や飛行機はいらない距離とは言え、来てもらうのはな…と。

元から約束していたならまだしも突然「来ない?」って言われたらアッチも困るだろうし…とか。

そう、考えていると。

 

「わっ!」

 

相手専用の呼出音が鳴って。

驚きつつも慌てて電話に出れば、「会いたい」と言われ。

なので多少しどろもどろに返事したけれど、「じゃあ行くから」と返答された。

 

「え?」

 

そして通話が切れて、僕は思わず携帯を二度見する。

 

(……まじか)

 

それからは準備をして、母さんに友人が来ることを伝えて。

駅まで迎えに行って、改札で待っているとやってきた。

 

「久しぶり!」

「……うん」

 

相変わらずの爽やかな笑顔で手を挙げてる相手に、僕も小さく振り返して近付く。

すると「会いたかった〜!」との言葉と共にキツく抱き竦められ。

 

「こ、ここ駅!人いる!!」

 

…とは言え聞く耳を持たれることはないので、僕は諦めてされるがままに。

 

 

「『相変わらず可愛い』?ハイハイ……口が上手いんだから」

 

そして家に向かう道すがらもずっとこんな調子なので、僕はもう呆れ気味だ。

 

(……いやまぁ、悪い気はしないけど)

 

むしろ嬉しいし、こうして褒められるのは嫌いじゃない。

でもさすがに往来でこれは恥ずかしいのでやめて欲しいけれど…。





僕:
シルバーバレット。
根気強く付き合いましょう。
そうすれば徐々に貴方が与えた感情を同じように返してくれるようになります。
愛情深く、また嫉妬深い一族のウマ。
でもその中でも情緒がチビちゃんなのでまだマシ。
しかし理想系が自身の父母なあたり…ハイ。
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