さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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憎いぐらいに。



貴方は良き人

プレイボーイというワケでもない。

 

「……」

 

けど、あの人はいつも誰かに囲まれている。

少々言動は粗野だけれど、困っている人を放っておけないヒーロー気質。

 

「…、」

「お?どうした?」

 

この人-先輩が気軽に家に招くのは僕だけと知っている。

他の人は事前のアポが必要で、連絡無しに訪れても料理や泊まりがOKなのは僕だけと、知っている。

歯ブラシも布団も服も僕専用のモノがあって、部屋が少ないから泊まる時は先輩の寝室で布団とベッドという違いはあれど一緒に眠る。

 

「……」

 

先輩は僕を信頼してくれている。

他の人よりは、ずっと深く。

 

「……先輩」

「ん?」

「僕、最近気付いたんですけど」

「おう」

 

先輩は本当に僕を信頼している。

だから僕も、───先輩に嘘は吐かない。

 

「僕って結構嫉妬深いみたいです」

 

まぁ、父も父なら子も子ってことで。

 

 

シルバアウトレイジにとって、その後輩は可愛かった。

あちらは覚えているか定かではないが幼き日に数度か出会ったことがあり、その時から後輩-【飛行機雲】への好感度は…カンストしていた。

だって自分もそうだが母譲りに我が強い下の弟妹たちと違い、【飛行機雲】のなんと控えめなこと!

弱肉強食を地でいく弟妹たちも可愛いくて可愛くて仕方ないが大人しいぶん目に入るってのもあるわけで。

 

「今日もお前は可愛いな〜!」

 

うりうりと頭を撫で掻き混ぜつつ、文句の声は黙殺する。

言葉では嫌がっていてもその表情は幼いころから変わらず「もっと」とねだっているし、万が一機嫌を損ねても自身謹製の何かしらを与えておけば機嫌が直ることも知っている。

 

(……にしても)

 

最近、妙にベッタリになられている気がして。

今も付かず離れず、まるで送り犬とかそういう類のようにくっついてくるし。

 

「あー、なんだ?どうした?」

「……いえ」

「ンだよ、言いてーことあんならハッキリ言えよな」

「……じゃあ聞きますけど。先輩は僕のことどう思ってるんですか」

「どうって……そりゃ可愛い後輩だと思ってるけどよ」

 

後輩として可愛がられている自覚はあるのだろう。

【飛行機雲】は不満げだ。

でも仕方ないだろう、事実なんだから。

 

(バカやるにしても巻き込めねぇぐらいイイコちゃんだしなぁ…。ま、そもそもバカやる予定もなし)

 

例えるなら。

【飛行機雲】に対しての可愛がりは庇護に近しい。

ゆえに後々何か大変なことが起こったとしてもシルバアウトレイジが【飛行機雲】を伴うことはない。

それぐらいにシルバアウトレイジにとって【飛行機雲】は()()()()なのだ。

 

「つーかお前、最近俺ん家ばっかでいいのかよ。ダチと遊ぶ予定とかねーの?」

「?先輩の家に来ることは友達と遊ぶことに入ると思いますけど」

「……。ほら、なんつーんだ。付き合いってもんがあるだろ」

「はぁ…、そうですかね?」





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
産まれながらの人タラシであり、全弟全妹がいっぱいいる系ウッマ。
自身もそうだが母譲りの我の強さをもつ弟妹を捌く日々であったため手綱取りが上手い。
シレッと相手がヤバく()なってもいつの間にか大人しくさせている。

また【飛行機雲】のことを可愛がっているが、何か大変なことがあった場合は火の粉が及ばないように遠ざけるタイプの可愛がり方である。
決して隣に立つことを許してはくれない。
そんなウマなんだ。
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