さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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真作(ホンモノ)は黙ってろ!って言いそうなふたり。



気に食わないだけ

「…そんなに無様にやられなくとも、やり返せばいいだろうに」

「誰が無様だ」

「無様以外の言いようがないだろう?…顔は腫れてるわ鼻血は出ているわだぞ?」

「うっせ」

「デユール兄さんにはもう連絡しておいた」

「へぇ、準備万端なこって」

 

肩を貸されながら連れていかれたのはもうどこに何があるか把握してしまった横にいるコイツ-バレットシンボリの寮部屋。

同居人がいないひとりのコイツの部屋は今の僕のような人間を匿うのにはうってつけという…。

 

「匿うのはお前ぐらいだよ」

「まァ、いつもお真面目なバレット委員長が不純な交遊するハズないもんな〜」

「…治療される傷を増やしたいか?」

「へーへー悪ぅござんした。からかっただけじゃん」

「クソガキ」

「同い年ですぅ」

「お前はクソガキだ」

「はいはい、とりあえず治療してくれや」

「……」

 

時おり殴り合いはするけど、本気で害そうとしない辺りコイツはさぁ…。

今日だってコイツが来たから僕を痛めつけてたやつが「やべっ!」って逃げて行ったし。

……さすが鬼の風紀委員長〜♪と内心口笛を吹いていれば睨まれた。

 

「ほら、顔出せ」

「へーへー」

 

大人しく治療を受ける。

……別に僕がいつもこうってわけじゃないヨ?

ただ、僕はそういうキャラでもここでは誰も咎めないってだけで。

 

「……よし、こんなモンだろ」

「あんがとさん」

「で?」

「ん?」

 

治療が終わり、バレットシンボリに促されて床にに座れば問われたのはそれだけだった。

あーはいはい、説明しろってことね?

ハイハイ。

何でもコイツ、僕のこと気に食わないくせに僕が()()なると何がなんでも犯人付き止めて██████(ゴニョゴニョ)するんだよなぁ。

 

「別に。いつものことだよ」

「いつも、か?」

「そ。僕のことが気に食わない奴に殴られてるだけさ。……まァ、今回はちょっとやられ過ぎたかなと思ってるけど」

「そうかよ」

 

バレットシンボリはそれ以上聞かなかった。

ただ、僕の頭をポンポンと叩いて立ち上がる。

そして扉に手をかけて……あ!そうだ!

 

「おにぎりでよろしく。2個ね」

「…もっと食えよ、お前。あ、あと」

「分かってる。ちゃんとこの部屋で一夜を明かすさ」

「言い方…」

 

 

気に食わないのは確かだが。

 

「やほ〜、シンボリくん」

 

それ以上に、気に食わないこともある。

殴られた顔でヘラヘラと笑うソイツ-シルバープレアー。

普段他人には見せない軽薄な顔で「人通らないところ通って、で良ければ怪我の治療して」と頼む様に一瞬シバきそうになるが相手は怪我人なので抑えて…。

 

「また、何か奢れ」

「ん〜」





【銀の祈り】:
シルバープレアー。
同期であり叔父にあたる【シンボリの弾丸】の前だけは軽薄で年相応だったりする。
でも普段は穏やかな優等生だし、みんなそうだと思っている。

【シンボリの弾丸】:
バレットシンボリ。
【銀の祈り】と同期であり叔父である鬼の当代風紀委員長。
父である【皇帝】に重ねられる自分と、"あのウマ"に重ねられる【銀の祈り】とで同族嫌悪しているが共に本気で嫌っているわけではない。
でも地雷は踏み合う。
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