さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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まぁ、誘われれば普通に。



キミとの交遊

同期は良いヤツばかりであるが、その中でも一番話しやすいのはスペこと、スペシャルウィークだった。

 

「むぐもごご!」

「飲み込んでから喋れ」

 

しっかしよく食べるなァ…と感心しながら、俺も俺で食事を進める。

 

「んぐんぐ……ぷはぁ! やっぱり美味しいです!」

「そうか、そりゃ良かったな」

「はい! あ、チャンプくんも食べますか?」

 

そう言ってスペは箸で掴んだ唐揚げをこちらに差し出してくる。が、

 

「いや……俺はいいよ」

「遠慮しないでいいですよーほら!」

 

ずいっと更に近づけてくるスペに根負けして口を開ける。

そこに放られた唐揚げは確かに美味しかったが、それ以上にウマ向けメニューのモノなので。

 

(デッ……カァ……)

 

コレ、この大きさで何でふた口ぐらいで食べれてんだよ。

美味しいけど、美味しいけど!

…ヒト向けメニューの定食で精々な俺にとっては、スペの食事量は別次元だった。

 

「あ、そうだ!」

「ん?」

 

スペが何かを思い出したかのように箸を止める。

そして、俺に向き直るとこう言った。

 

「この後はどうする?」

「どうするって…お前のやりたいようにすれば…」

「なら食べ歩きかなぁ?」

「…まだ食うのか」

 

*

 

自分が同期の中でも話しかけやすい雰囲気を持っているという、自覚はある。

自分としては普通にしているつもりなのだけど、『それはもう天性』とも評されることも。

 

「スペ?」

 

でも。

目の前のチャンプくん-シルバーチャンプの前だけはいつも通りではなくなってしまう。

自然体ではなく、どこか相手に見られていることを気にしてしまってカッコつけたり、逆に何も考えずにぼうっと行動してしまったり。

 

「どうしたんだよ、スペ」

「……ううん! なんでも!」

「ならいいが……」

 

そう言ってチャンプくんはまた食事に戻る。

 

(ずるいなぁ)

 

そんな姿を、思わず箸を止めて見つめるのだった。

 

・

・

・

 

「今日はありがとう!」

「おう、楽しかったぞ」

 

夕暮れの商店街を並んで歩く俺とスペ。

結局あの後色々な店を回って食べ歩きをしたのだが、マジでスペって健啖家だな。

さすがに主食ではやらなかったとはいえ、デザートで何分以内に食べ終わったらタダ!でも食べきれなかったらお金払ってね!ってヤツやって軽々とクリアしてたし。

 

「チャンプくん、ちょっとこっち向いて」

「ん?」

 

言われるままに顔を向けると、パシャリという音が鳴った。

 

「……おいスペお前今なにした」

「えへへ……ウマッターに上げちゃった」

 

ウマッター?

いや、まぁスペぐらいの選手になるとやってるのはおかしくないが。

 

「大丈夫、ちゃんと顔は映らないようにしたから!」

 

いやそういう問題じゃねぇよ!

てかその配慮ができるなら先に言え!

 

「だってチャンプくん、誘っても何かと理由つけて断るでしょ?」

「いや……まぁ」

 

確かに俺はそういうのしないけど。

…親に送れって言われない限り。

 

「だから!」

 

そう言ってウマッターの投稿を俺に見せつけてくるスペ。

そこには『今日は同期と食べ歩きです!』というコメントと共にスペと俺の耳が見切れる形で撮られた写真が。

 

「いい感じ!」

「……さいですか」

 

まぁ、いいか。

スペが楽しんでるなら、それで。

 





【銀色の王者】:
シルバーチャンプ。
同期の中で一番話しやすいのはスペで、頼りにしてるのはキングなウッマ。
誘ったら快くOKしてくれるが誘うまでが至難のワザ。
ちな同室であるリョテ先輩とは気軽にツーショ撮るらしい。
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