さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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今も昔も…求婚されてるんだ。



実質最大の関門

「遥ァ!(メシ)ィ!!」

 

そのウマ-シルバーチャンプが己のトレーナーである白峰遥の世話をするようになったのは、その食生活が独身の生活を鑑みればよくやっている方ではあるが、ところどころ栄養素が足りないのを見ていられなくなったからだ。

トレセン学園に通うウマが自らのトレーナーに懐く、というのはよくある話だ。

そりゃあ思春期のめんどくさい頃に、親身に、時に喧嘩しながらそんな自分を理解しようとして、結果理解してくれる年上など劇薬でしかないだろうが。

だがそれはある程度(一緒にいて安心する、お互いに強く信頼している)までが一般的であり、シルバーチャンプのようにトレーナーの住んでいるところに押しかけてまで世話をするというのは…。

 

「だってアイツ放っとけないからな。放っとくと洗濯物ためてるし。干してても畳めてないし」

「トレーナー業も結構重労働だからな、体が資本だよ」

 

と言っては、今日も今日とて世話をしに行っていたシルバーチャンプであったが。

 

「ええと…誰、ですか?」

「あぁ、この子は…親戚の子なんだ」

「はぁ…」

 

慣れ親しんだ部屋に知らない女性(ひと)がいて、思わず固まった。

なにせいつものように「遥ァ!(メシ)ィ!!」と言いながら部屋に乗り込んだのだから。

 

「そ、そうか。それは失礼したな」

「い、いや、言ってなかった俺も悪いんだ」

 

と慌てていつものように振る舞うトレーナーに、シルバーチャンプはジト目を向ける。

 

(親戚が来てんなら先に言えよ……)

(いやだって、昨日今日で帰ると思ってたんだよ!それに担当バが押しかけ女房みたいなことやってるとか言えないだろ!?)

(俺は別にいいけど)

(俺がよくないんだよ! というかそもそもお前が押しかけてるようなもんだろ!!)

(うっせぇな、飯抜きにするぞ!!)

(ソレハヤメテぇ!!)

 

コソコソコソコソと言い合っているとクスクスとした笑い声。

声の方にふたり目を向けると親戚の子だという彼女が堪えきれないという風に笑っていた。

 

「あ、ごめんなさい」

「い、いや……」

「仲がよろしいんですね」

「ま、まあな!」

((普通だよ))

 

とふたりして同じことを考えたのは言うまでもない。

 

 

「……で?」

「ん?」

 

親戚の子だという女性を駅まで送って行ったトレーナーにシルバーチャンプは目を向ける。

その視線の意味を理解したトレーナーはバツが悪そうに視線を逸らした。

 

「……別にやましいことはしてないさ」

「天下のトレーナー様だもんなぁ。バレた後が怖ぇよ」

「う゛っ、」

「ア゛?どした」

「いや、その…」

「なんだよ」

 





【銀色の王者】:
シルバーチャンプ。
トレーナーを世話しに行く系担当バ。
ただそれだけだったのにラブコメに巻き込まれそう。
でも最終的に「さっさとくっつけ!」とトレーナーの背中蹴る役になると思われ。

トレーナー:
白峰遥。
幼き日から親戚の白峰族の女の子に迫られている。今はつれなくしているものの昔から満更ではない。
そろそろ年貢の納め時。

親戚の子:
遥くんより年下の白峰族♀。
遥くんに一目惚れでずっと好き。
それとなく外堀埋めるタイプだし、遥くんが自分を憎からず思っていると分かっている上でアレコレしてくる。
もう少し経ったら一番の味方(【銀色の王者】)を手に入れることになる人。
行け行け押せ押せ!
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