しょうがないよね。
微妙な息苦しさを感じて目を覚ませば、暗い部屋でウマ乗りになって己を見下ろす親友。
「…、」
首に手を這わせて、触れる指先は脈のところ。
きっと、トクトクとリズムを刻んでいるだろうソコを、ゆるゆると微かな力が入れられるのに。
「抵抗、しないの?」
暗闇の中で瞬いた目が、きょとり。
何の感情もないように見えて、その実重いナニカを抱えている、目が。
「抵抗して、ほしい?」
「……、」
「それとも、このまま…?」
「………、」
「……、冗談だよ。冗談だって」
ふい、と反らされた視線に小さく笑って、首に触れる手をそっと剥がす。
その手首を握る指もそのままに見上げれば、どこか苛立たしげに見下ろしてくる瞳。
「何がしたいの?」
「…、」
はく、と口が開閉する。
そこから見えるのは───鋭いキバ。
「ねえ、」
「……、」
「何が、したいの?」
「……、」
はく。
また口が開閉する。
その唇は言葉を紡ぐことなく閉じて。
代わりに、掴んだ手首を押さえつけて。
「っ、!」
がぶり、と噛みついた。
「っ……!?」
至極当然のように細められた目を見つめつつ、強く頸に歯を立てられるのを感じる。
鋭いキバが食い込む感覚に眉を寄せれば、一瞬の後に離されて。
「
その傷口を、キミの指がなぞる。
その指の辿りようを見るに、随分とくっきり残ったらしい。
とはいえ、やられている僕の方としては指がなぞるたびにツキツキした痛みが脳髄に伝達されて、正直たまったものじゃない。
「痛いんだけど?」
「……、」
「ねえ、聞いてるの?ねえってば」
「……、」
「っ、ちょっと!」
返答をしないキミに焦れて振りほどこうとした手は、しかしびくともしない。
それどころか、その拘束は強くなっていって。
「ねえってばっ!痛いって言ってるでしょ!?」
「……」
「聞こえてないの!?ねえってば!」
「……うるさいな……」
ぼそりと呟き。
けれど向けられたその目は───。
*
時折、自分以外に笑顔を振りまくキミの姿がどうしようもなく憎くなる。
そのたびにキミの中の、やさしく、やわい部分をぐちゃぐちゃにしてやりたくなって。
キミは、僕のモノだ。
そうだって、
なら、もうさぁ。
「…全部、僕のモノでイイよね?」
「っ、!?」
がぶり。
その首筋に噛みついて、キバを食い込ませる。
じわりと滲む血を舐めとって、キミの顔を覗き込むように見上げて。
「ねえ、」
「」
はく。
口が開閉するけれど、そこからは何も紡がれない。
ああそうだ。
何も言えないようにしてしまえばいいんだ。
そんな簡単なことにも気づけなかったなんて────、
「やめろって……言ってるだろ!!」
「がふっ!?」
…暗転。
好きだから傷つけたい。
自分のモノだって、知らしめるように。