さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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このように、ふと飛び火することしばしば…。



総大将には敵わない!!

「スペ」

 

用事を済ませて荷物を取りに来ると、俺の席でクラスメイトであるスペシャルウィークが伏せて眠っていた。

 

「スペ」

 

トントンと体を叩いて起こそうにも「んん…」と唸るだけで一向に起きそうにない。

 

「…」

 

仕方が無いので、起きるまで付き合うことにした。

つねっても揺さぶっても起きないのは、さて一体どうすればいいのか。

 

「スペ」

「……ん……」

 

借りた小説を開いてパラパラ読み始める。

授業は、トレーニングは、もうとっくに終わっていて、教室には俺たちしか残っていない。

だから起こすのも俺しかいないわけで。

……まぁ、いいか。

怒られてもちょっとの注意だけだろうし。

そう思い直して再び本に目を落とすが、どうにも集中できない。

理由は分かっているけれど、あえて無視した。

 

(……)

 

ちらり、と横目でスペを見る。

すやすやと眠っている…風だが呼吸がわざとらしい。

 

(……寝たフリ、だな)

 

耳を澄ますと、微かに「すぅ……ふぅ……」という息遣いが聞こえた。

狸寝入りである。

 

「……スペ」

「ん~……」

 

呼びかけると、少しだけ反応が返ってくる。

しかし起きる様子は一向に無い。

 

「おいスペ」

 

少し語気を強めて呼んでみる。

すると今度はピクッと耳が動いたので、起きてるのは間違いないだろう。

けれどそれでも起きようとしないのは。

 

「起きろよ。起きなければ…」

 

はふ、と吐息混じりに耳元で呟けばガバッと。

顔のみならず首まで真っ赤にして起き上がった相手にクツクツと笑えば、

 

「だ、騙したな!!」

「騙したなんて人聞きが悪い。俺は『起きなければ』と言ったんだ」

「〜〜〜っっ!!」

「ホント、純朴で可愛いなぁお前は」

 

たまらず地団駄を踏みそうな姿にケラケラ笑い、「帰るぞ」と荷物を取ろうとした。ら、───ドサッ。

 

「スペ?」

「…あまり、僕を舐めるなよ」

 

不意に押し付けられ、視界がスペでいっぱいになる。

いつも以上に真剣というか、いやそれ以上に…何か見てはいけない類の顔をするスペ。

 

「ちょ、ちょっと待てスペ」

「待たない。もう我慢の限界」

「いや待てって!ここ教室だぞ!?」

「だから?」

「だからって……!!」

 

ああ言えばこう言う。

いや、この場合は俺が何も言えないだけか?

 

「……ねぇチャンプくん。僕はね、ずっと前からこうしたいと思ってたんだ」

 

耳元で囁かれる声にゾクリとする。

が、ここで流されるわけにはいかない。

だってここは教室で、誰が来るかも分からないのだ。

故にヤダヤダと抵抗するも、先程とは逆転するようにクスクスと笑われるだけで。

 

「…もしかしたら、【旅程】先輩に怒られるかもねチャンプくん」





【日本の総大将】:
スペシャルウィーク。
純朴っぽいのでよく【銀色の王者】にからかわれる。
しかし総大将なので、その実そうでもない。
一回攻勢し始めたら逃げることも許さないタイプ。
可愛い顔して予想以上にエグかったりしそお…。
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