さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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だからひとりじめしたい。



ご飯美味しい

我が友人であるシルバーバレットは一度身内に入れた相手に対して大層甘い。

メシの世話など序の口で果てには洗濯やら掃除やらをしてはまるで俺のことをダメ人間にでもしようとしてるんじゃないかと思うくらいには甘々だ。

 

「あ、そういえば今日特売だからさ、買い物手伝ってくれない?」

「ん」

 

…なので、あまりこっちに頼ってこない友人の時折の細々した頼みごとは積極的に聞くべきだよな、みたいな。

そう思いつつエコバックの入ったワンショルダーバッグを持って。

 

「ねぇねぇ、サンデー」

「ん」

「今日のご飯なにがいい?」

「…何でも」

「それが一番困るんだって!」

「だってお前のメシ全部美味いから」

「うぐっ、」

「だからお前が食べたいヤツ作れよ」

 

思えば。

そこそこ偏食の気があった自分だが(というか故郷にいた頃は手料理とかろくにしなかった)シルバーバレットと出会ってからは"食育"ってヤツをされたのか、好き嫌いもまぁあまり好きじゃないヤツでも少しは食べられるようになったし、何より毎日三食きちんと食べるようになった気がする。

 

「じゃあハンバーグ!あとポテトサラダとなんか野菜のスープね!」

「はいはい……」

(ふんすふんす)

 

クルクル肩をほぐすように腕を回し始めた横に「気合い入ってんなぁ…」と呟きながら、ふっと小さく笑った。

 

 

出会った頃の友人は一食に全部詰め込むタイプだった。

食べる時間がもったいないというか。

腹に収めれば全部同じだろ?ってタイプというか。

何かと食事が雑で雑で。

基礎的な切る・焼く・煮るは出来るが食事そのものに興味がないためか手つきが危険極まりなかった。

しかし、ある日を境にそれは変わったのだ。

 

「…?」

 

いつものように僕が作った食事を黙々と平らげていく姿を見つめていれば、不意に目が合う。

すると「おかわり」と。

 

「…もうない、か?」

「い、いや、ある。あるよ!」

 

それまで一度もそんなこと言ったことなかったのに!

思わず動揺して渡された皿を取り落としそうになるほど慌ててキッチンへと全速力で向かった僕は悪くないだろう。

そしてそれからというもの、友人は僕の作ったものをおかわりしてくれるようになった。

最初はただ単に食事を楽しめるようになったのかな?と思っていたがどうにも違ったようで。

いわく、『子どもたちにお前のメシ取られるのが癪』だとか。

『俺のために作られたのに』とか。

ちなみにその時初めて知ったのだが、そのおかわり事件まで友人が食べきれずに鍋やらフライパンに残っていた僕の料理は友人の子どもたちが毎回押し合い圧し合いのバトルをもって完食してくれていたらしい。

…まぁ、「美味しい」と言ってもらえるのは作り手冥利に尽きることではあるけれど。

 

「そんな奪い合いになるくらいならタッパーとかに入れてこようか?」

「いらね」

「何で!?」





僕:
シルバーバレット。
料理が好きというか自分の料理を他人が食べる姿が好きなのかもしれない。
ひとり分とかじゃなくてそれなりの量を作るのが得意らしい。

SS:
僕のマブ。
僕との交流初期はあまり食事に興味がなかったが徐々に改善。
今では実の子どもたちと僕の料理を取り合うぐらいには胃袋ガシッされた。

俺のために作ってくれたんだから俺が全部消費して何が悪いってんだ、あ゛?
大人気ない!!by.SSの子どもたち
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