さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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マス太身代わり√銀弾♀世界→ウマ世界の話。



*嘘つきも、約束破りも。

シルバーバレットとそのウマは幼なじみでありながらもあまり仲がよくないことで有名だ。

まぁそれには男女という性別の違いと思春期特有のあれやこれやが関係しているかもしれない。

 

「ならさ、同居なんかせずにひとり暮らしすればいいじゃん」

「…互いの親が決めたんだから、おいそれと未成年の子どもである私が決めれるわけないだろ」

 

はァ、とため息をつく様はどこか退廃的で。

それに息を呑む周りを話し相手になっていたミスターシービーはじろりと睨みつける。

その視線に気づいたのか、気づいていないのか、彼女は続ける。

 

「なによりもアイツは……」

 

そう言う彼女の瞳には隠しきれない…があった。

それを見て、ふぅん?と意味深に呟くと、ミスターシービーはつぅ、と指をさす。

 

「そら、お嬢さん。キミの貴公子サマがお迎えだよ」

 

 

「…互いの両親が決めさえしなけりゃ、お前となんて暮らさなかったものを」

 

表面上は明るいながらも雰囲気はどこか暗い、そんなマンションの一室でまるで陶磁器の人形のようにソファーにいるのはシルバーバレットというウマ娘だ。

知る人ぞ知る家系の生まれである彼女だが、今は運命的な出会いを果たしたトレーナーからのスカウトによってトレセン学園に在籍し、レースに出走する日々を過ごしている。

そして今いる部屋は彼女とその()()()が紆余曲折あって暮らすために用意されたものなのだが……。

 

「うるさい、いらない」

 

差し出されたソレをシルバーバレットはすげなく断った。

特段そういったことに興味が無い彼女でも聞き馴染みがある程度には有名な店の菓子ではあったが、差し出してきたのがそのウマだと分かるとどうしても食べる気にはならなかったのだ。

 

「オマエからの施しなんかいらない」

 

フンッ!とそっぽを向いてしまう彼女に困ったように苦笑すると、そのウマは彼女の隣へと腰掛ける。

 

「うるさい、触るな!」

 

シルバーバレットの体は華奢で、逆にそのウマの体は大きく。

「触るな!」なんて言っても、簡単に引き寄せられる形になってしまう。

 

「触るなってば!!」

 

必死に抵抗するものの、力の差はいかんともし難くて。

 

「離せって……っ!?」

 

抵抗虚しく、そのまま抱き寄せられ。

 

「ちょっ、ちょっと……!!?」

 

突然の、いつもの遠慮しがちな行動とはかけ離れたそれに動揺して固まってしまう。

普段とは違う様子に戸惑っているうちに、背中に回された腕の力が強くなっていく。

 

「痛いっ!!」

 

抗議の声を上げるも、それでも力は緩まない。

むしろさらに強くなっているような気がする。

困惑しながらも口から出たのは"あの日"からずっと思っていた言葉で。

 

()()()()()()()()癖に今さら機嫌取ろうなんて!…ぁ、」





『…大ッ嫌いだ』

……ホントに?
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