さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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親孝行?



ちょっとした遠出

ずっと働き通しですし、どこかに羽を伸ばしては?

 

「そうだねぇ」

 

可愛い我が子-シロガネハイセイコの誘いに、シルバーバレットは一も二もなく頷いた。

自分も自分で言われた通りに働き通しであるが、次期当主として教育を施しているシロガネハイセイコも同じように働き通しであるからして。

 

(僕は別に休まなくてもいいけど、ハイセイコは休ませてあげないと)

 

そう思ったから。

誘われるがまま、少々人里離れた山奥ではあるが温泉が湧いている小さなコテージ?ペンション?にやって来た。

 

「う~ん、いいお湯だったねぇ」

 

ホカホカと湯気を立ち上らせながら、シルバーバレットはソファーに座ってほけほけと笑う。

シロガネハイセイコは共連れのシロガネヒーローと「もう少しいます」と温泉に肩まで浸かっていたので、もう少しかかるだろう。

 

(さて……どうしたものかな)

 

せっかくの休みだけれども、やることがない。

いや、あるにはあるのだが……。

 

(……とりあえず、コーヒーでも飲むかな)

 

そう決めたシルバーバレットは、キッチンへと足を向けた。

砂糖をたくさん突っ込んでミルクもジャバジャバ。

もはやコーヒーというには失礼が過ぎる甘さにまで甘くしたコーヒーを、シルバーバレットはちびりちびりと飲んでいると。

 

「ん?」

 

ふと、何かが聞こえた気がした。

それは小さな音で、けれど確かに聞こえた。

 

(なんだろう?)

 

立ち上がって耳を澄ましてみるが、何も聞こえない。

風の音かしら?

 

(あっちからかな?)

 

なんとなく気になったシルバーバレットは足を進めて行ってみれば。

 

「……あぁ」

 

なるほど納得である。

そこではシロガネハイセイコとシロガネヒーローの息子たちふたりがコソコソと話をしていた。

聞こえてきたブツ切りの内容を合算するに、シルバーバレットは働きすぎだからそこそこの期間、ここで羽休めしてもらおうぜ、と。

 

「…えへ、お父さん冥利に尽きるなぁ」

 

 

その計画をシロガネヒーローが知って、果てには共犯になることに決まったのは或る麗らかな日の午後だった。

 

「ん?」

 

ぽん、とこれみよがしに机の上に置かれた書類を取って、見てしまったが最後。

 

「共犯、なってくれるよね?」

 

ニコリと悪魔の笑み。

結果、哀れシロガネヒーローは、その書類にサインをした。

血判もした。

 

「えへ……えへへ……」

 

シロガネハイセイコは上機嫌だった。

ここ最近の忙しさがピークで、ようやくゆっくりできる時間ができたのである。

もちろん、大好きな父親も一緒だからよりいっそう嬉しいし楽しい。

 

(今は鈍いお父さんに感謝しなきゃ)

 

それに加え、特にシロガネヒーローには頭が上がらない。

この場所を調べて、ハイセイコが求めるものをすべて用意してくれたのは彼なのだから。

 

(ありがとうヒーロー!)

 

もう何度目になるかわからない感謝を捧げながら。

 

「楽しみましょうね、父さん」

「うん!そうだね」





ただの旅行ですよ。

僕:
シルバーバレット。
ただの旅行…のはず。
今日もにぶにぶ。

子どもたち:
シロガネハイセイコ&シロガネヒーロー。
主犯はハイセイコだが、諸々を用意したのはヒーロー。
なので傍から見たらヒーローの方が…?
でもヒーローも身代わりになるつもりがあるのでぇ…。
がしかし、他の子どもたちの目は騙せないんだよね。
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