さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ずっと待ってた。



誰も知らぬ待ち人

「シルバーさ、そろそろトレーナーさんと契約とか。…ねぇ、ルドルフ?」

「そうだな。キミの方にもその話は来ているだろう?シルバー」

「引く手数多だろ?何が嫌なんだ?」

 

クラスメイトから三三四五言われる言葉にシルバーバレットは机に頭をつける。

みんな、自分を心配してくれていることは分かっている。

しかし、シルバーバレットは首を縦に振ることが出来なかった。

 

「……少しくらい、面談してみたらどうだい?」

「…うん」

 

ルドルフの言葉にシルバーバレットは頷く。

 

「……そうか」

 

しかし、みんなシルバーバレットのその()()()を知っているから、それ以上は何も言わなかった。

 

「…"あの人"じゃなきゃ、ダメなんだ」

 

 

「ここは、」

 

その日、男は目を覚ますと見知らぬ場所にいた。

男は元々騎手という仕事をしていたが今はその仕事を辞し、ひっそりと暮らしているただの一般人…だったのだが。

 

「…、」

 

男の目の前に広がるのは広大な、青々とした芝生。

夢にしてはリアルだな、と感じながらぼうっとしていると。

 

「きしゅ、くん…?」

「…!?」

 

ガサ、と踏み分ける音がして。

ぽつりと茫然自失に呟かれた言葉にハッと顔をあげれば、そこには。

 

「ぁ、あ…」

「騎手くん、騎手くん騎手くん騎手くん!!」

 

地面に座る男に抱き着いてきた体は、男の知るものとは違うけれど。

それでも、男はその体を強く抱きしめた。

 

「バレット」

「はい……っ!」

 

自分の胸に顔をうずめる彼女を抱きしめながら、男は思う。

 

(夢なら、覚めずに…)

 

 

シルバーバレットがトレーナーと契約した。

その話題はすぐに学園中を駆け回った。

どんなベテラントレーナー・チームが声をかけても一切首を縦に振らなかった彼女が、だ。

 

「まさか、本当に……?」

「……っ」

 

クラスメイトは、シルバーバレットがトレーナーと契約したことを信じられなかった。

そして、その契約したトレーナーは誰だと、大騒ぎ。

 

「シルバー!一体誰と契約したの!?」

「クラスメイトのよしみだろ?なぁ?」

 

けれども、シルバーバレットは答えない。

ただ黙して、どこかに行きたそうに視線を彷徨わせるばかりである。

 

「あっ、逃げた!!」

 

───────

─────

───

 

「あ、バレット」

「うん、何もされてないよ。大丈夫大丈夫」

「たずなさん?って人が言うには僕みたいに落ちてくる人が時々いるらしくてね。あっちの世界のことも多少知識はあるみたいなんだ」

「…え?あぁ、うん。トレーナーの件に関しては()()()免許を発行してもらえることになったんだ」

「だから、心配しなくても僕がキミのトレーナーだよ」

 

───ね、バレット?





僕:
シルバーバレット。
才能は折り紙付きだが、トレーナー契約の打診を断り続け…でヤバいところまでいってたウマ娘。
トゥインクルシリーズは未出走であるものの、クラスメイトであるイツメンとよく併走をするのである意味トレセン学園で知らぬものはいないぐらいの有名人だった。
そのため今回の件で随分と大騒ぎになっているようだが…?

「……♪(幸せオーラ全開)」

トレーナー:
違う世界のヒト属男性。
元騎手で、僕と親しいようだ。
現在はトレセン学園に保護されており、何やかんやが早急に行われたあと特別にトレーナーとなり僕とコンビを組む。
実はトレーナーとしての才覚も騎手の時と同じく神がかっている模様。
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