愛するが、ため。
『愛する者に手を出されたら有無を言わせず老若男女・有機物無機物構わず一切合切ブッ█せ』。
それが、【白の一族】の家訓である。
【白の一族】は愛情深い。
【白の一族】は執着深い。
それが愛であるが故に。
愛しているが、故に。
愛しているから守り、愛しているから縛る。
愛しているから、愛する者の為なら何でもする。
そして、その『愛する者』の範囲に、自分は含まれていない。
自分はどれだけ不幸になってもいい。
ただ『愛する者』が幸せであるのなら、それでいい。
そんな自己満足のような、独りよがりのような。
身勝手で、献身的なソレは。
『────?』
不思議そうに首を傾げる姿があった。
どれほど殴られても、骨を折られても、決して挫けず折れず、果てには噛み付いてまで『愛する者』を害した相手に報復しようとするその『愛』は否応なく【白の一族】自身を傷つけて。
それでも、【白の一族】は『愛する者』の為に生きる。
それが、それこそが。
【白の一族】の生き方であり────誇りであるから。
……ああ、そうだとも。
そんなヒトだからこそ──そんなヒトに心底、骨の髄まで惚れてしまったからこそ、…自分はここまで
『どうしたの…?』
己がために、一生残る傷を携えてしまった愛しいヒトが心配そうにする。
泣かないで、と爪が剥がれた指先が涙を拭う。
──違う、違うんだ。
泣かないでなんて言わないでくれ。
あなたをこうしたのは自分なのに。
そんな自分が、何より許せないだけなのに。
『ごめんなさい』と謝りたいのはこちらの方で、だからどうか笑ってくれと言いたいのに喉は震えず声も出なくてただ立ち尽くすだけ。
『大丈夫だよ。大丈夫…』
*
傷つくことが、『愛』だった。
『愛する者』のために負った傷は、それはそれは何よりもの勲章であり、祝福であり、そして何よりの誉れであった。
『愛する者』が幸せであるのなら、それでいいのだ。
そんな自己満足で、独りよがりの。
ひどく身勝手で、献身的なソレは。
『愛する者』が傷付くことが何よりも許せないから。
だから、たとえ自分がどれだけ傷付いても構わなかった。
しかし。
『お前が自分を愛するように、自分もお前を愛している』
そう言って、信じられないぐらいに自分をバカにした相手をボコボコにした『愛する者』に目を見開いた。
なにせ【白の一族】は自分が虐げられることにとんと執着がない。
自分たちがおかしいことは自明の理で理解しているから。
だから、そんな自分のために怒ってくれるヒトがいるなんて想像もしていなくて。
そんな自分が誰かに守られるなんて有り得ないとさえ思っていたから、それがどれほど嬉しくて幸せなことか分からなかったのだ。
『──で、でも、』
けれど、それでも『愛する者』は傷付いて欲しくなかった。
だって、自分はどうなってもいいのだ。
たとえこの身が引き裂かれようとも、たとえ骨を砕かれようとも。
それで大好きなひとが幸せならそれでいいと思ったから。
なのに、
『それが一番…自分たちにとっちゃあ嫌なことなんだ』
【
【白の一族】:
『愛』が重いが自分たちのことには無頓着。
『愛する者』をバカにしただけで突っ込んでいくクソ重愛深き者。
しかしその時に傷を負えば傷を負うほど勲章!みたいな思考持ちなので傷だらけになること多数。
また自分たちがおかしいことを理解しているが故、『愛する者』が離れないように周りを排除しているやも…?
愛したから、離れないで欲しいんだ。