さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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キラキラ、キラキラ。



月の輝きがごとく?

月夜が好きだった。

幼き日に、母と共にあった寝床から抜け出しては綺麗な庭が見える縁側の方へと出て、ぼんやりと月夜を眺めていた。

くらい夜の中に、しろい月明かり。

どうしようもなく、綺麗だとおもった。

そんな時、決まって祖父が現れて縁側にいる僕を抱っこするのだ。

 

「やァ、チビ」

 

白い着流しに口籠と目隠し。

それが祖父-ホワイトバックのいつもの格好だ。

祖父は…何故だか僕をいっとう可愛がっていた。

それはもう、過保護と言っていいほどに。

でも、僕はその気持ちが何なのか分からなかったから祖父の好きなようにさせていた。

だって、嫌じゃあなかったんだもの。

だから、そのままずっとそうしているのが日常だったのだけど。

 

「チビは、お月様好き?」

「……ん」

「そうかそうか」

 

クスクスとあどけない子どものように笑う祖父が擦り寄っては僕の頬や首筋に口籠がかする。

くすぐったい、と身を捩ればまた笑われた。

 

「月は、狂気の象徴なんだって」

「?」

()(くに)…、いわゆる海外だね、ではそう言われてるらしいよ。ほら狼男とか」

「…………」

「ふふっ、怖いかい?それとも興味あるかなァ」

「……おじーちゃんも、オオカミになる?」

「ううん、ならないよぉ。ぼくはどこにでもいるただのウマだからネ!」

 

そんな話をしたことが今も脳裏にありありと…。

 

 

【白の一族】は隠語として『月の者』と語られる時がある。

その初出は定かではないが、ありとあらゆるツテを使って見つけ出した書物を見るに初期の初期からチラホラとその呼び名が使われていることから、もしかすると原初の"白牝(シロメ)"と呼ばれたウマの本名が月に関するものだったのかもしれない。

 

そして、そのウマの血を継ぐとされる一族こそが【白の一族(ぼくら)】であり、その血族である証こそがこの純白と見紛う芦毛、もしくは銀灰色の瞳なのだという。

 

白の一族(ぼくら)】は隠れて暮らすことを是とした一族だ。

その魔性のごとき魅了ゆえに、数多の者共によって狙われた過去を持つ【白の一族(ぼくら)】はたしかに、月といっても過言ではないだろう。

 

月の満ち欠けのようにジワジワと侵食し。

取り返しのつかなくなったところで雲隠れする。

そして残るのは──【白の一族(ぼくら)】に狂った皆々様。

………まぁ、何とも。

救いようのないことだとは思いますが我らも好きで狂わせているワケではない、と多少なりともの弁明はさせていただきましょう…と言えども。

 

「聞いちゃくれねェのが、皆々様ってワケなんだけど」





【白の一族】:
またの名を『狂血の一族』。
時おり『月の者』と呼称されたりもする。
いちおう自身の魅力()に多少なりともの自覚はあるのがほとんど。
無いやつはホントに危機感のネジがゆるゆるで弾け飛んでるか、生まれた頃から身内で箱入りに育てられたかのどっちか。
自分たちが『月』って呼ばれるのは言い得て妙だなと思ったり思わなかったり。

だがそれはそれとして日本では黄色とされる月ですが、西洋では白や銀色が月の色らしいですよ。すっごい偶然ダナァ(小並感)。
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