何度も何度も。
何度も『大丈夫だ』って言い聞かせても、変わらず夢を見る。
「は、はァっ、はァっ…!」
横を見ると自分と同じように冷や汗グッショリで緩慢に起き上がる妻の姿。
ただ父であった俺よりも、自ら腹を痛め産み育てた彼女の方が、何倍もの苦しみを味わったことだろう。
「すまない……本当に、すまない……」
「ッ!…………大丈夫、大丈夫だから……」
俺が謝れば妻はいつもそう言って俺を抱き締めようとしてくれる。
だが今はそれが逆に辛かった。
妻に心配を掛けたくない。
妻の辛さに比べればこんなのは大したことじゃないと思わせたい。
だから俺は無理にでも笑って見せなければならないのだ。
なのに顔の筋肉は言うことを聞かず、ボタボタと滂沱の涙を流すのみ。
…同じなのだ、きっと
この苦しみを、辛さを、痛みを、 反芻するように夢で見る。
──
・
・
・
あの子が生まれた日、とても幸せだった。
そして共に絶望した。
あれほど待ちわびていた子の行き着く先、そのひとつを
暗い海の底。
ひとりぼっちで、何十年も。
──
そう、思った。
「お父さん!」
日々、大きくなっていく我が子。
父として、家族として、皆が皆その子を愛しているがふとした時にその子を見る目線が皆、同じなのだ。
──
「…父さん?」
……あぁ、違うんだ。
そんな目で見ないでくれ。
俺たちはただ、お前に幸せになって欲しいだけなんだ。
憐れんでなんかない、そんなことしちゃいけない。
憐れむよりも、その
「父さん、どうしたの?」
──
「大丈夫、大丈夫だよ」
──
「僕は大丈夫」
お前が一番、辛いはずなのに。
「───」
……あぁ、そうか。
そうなんだな。
お前はもうとっくに、そんなところまで行ってしまっていたんだな。
“可哀想”なんて言葉も届かないほど…。
「あぁ…」
だからせめて、俺たちだけは。
そんなお前を、守ろう。
──
この身が朽ち果てようとも、決して諦めることなく。
「父さん?」
「いや…今日も可愛いなぁ、お前は」
「そう?…えへへ」
*
思えば家族みんな僕には過保護だった。
そりゃあ同年代と比べるとひどく小柄で、下のきょうだいにも負けるぐらいだったけれど、それでも僕はそんな家族が大好きで。
……でも、いつからだろう?
そんな家族に違和感を感じ始めたのは。
「ん」
父さんはそう言うと僕を抱き上げて膝の上に座らせる。
年齢的にキツいけど、でも嫌では無いので黙って座っていると父さんは僕の頭を撫でながら、
「生きてるだけでいいんだ。生きてるだけで…」
そんなことを言う。
「…そういうもの?」
「あぁ」
「ふーん」
僕:
シルバーバレット。
今日も元気に生きている。
ただそれだけ。
それだけで…。