ちゃんと食べてますって!
「チャンプは」
「なんだ」
「あのヒトのこと、好きなの」
「好きだよ。…ちょっと粗野だけど、良い人だから」
たわいもない話だ。
ぼうっと、ふたりして代わり映えのない練習場を眺めながら。
…………ああ、でも。
先を見つめるキミの目には、色がある。
いつもの、茫洋とした目が嘘のように。
くるくると、ゆるんだり、呆れたり。
最後には仕方ないなぁ、って顔をして呼ばれた方に走っていく。
「じゃ、また明日な!エル」
「…うん」
*
「…また、アイツと一緒にいたのか」
「まぁ、はい?」
「アイツのこと、苦手なんじゃなかったか」
「でも、フツーに話す分には大丈夫っぽいんで」
……なんでそんなことを聞くんです?
そう返すと、眉間のシワがさらに深くなった気がした。
「お前もそうっちゃそうだが、アイツは、輪をかけて何を考えてるか分からんからな……」
「あー……。確かに、よく言われますね」
「何かあったら言えよ」
ポン、と頭を撫でる手にゆるりと眦をゆるめれば、「メシ食いに行こうぜ」なんてサラッと抜け出しを推奨してくる始末。
「バレますよ」
とは言っても、行く気満々なのはバレバレで。
くつくつと笑われるのにちょっと不機嫌になる。
「悪ィ悪ィ。奢ってやるから」
「いつもそうですけどね?」
「ハハッ!違いねぇや」
ケラケラ笑う先輩に手を引かれて、外へと足を向けた。
・
・
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警戒心の欠片もないヤツだなぁ、とチマチマ飯を食べる姿を眺めれば「食べます?」と良いところを差し出された。
「お前が食え」
「いやでも…腹いっぱいになってきたんで」
へへ、と恥ずかしげに笑う様も見慣れたものだ。
「また痩せるぞ」と睨みつけてもどこ吹く風だし、コイツ本当に分かってやってんだろうか。
「いいんですよ。俺、そういう体質らしいし」
「そういう問題じゃないだろう」
「それにほら、最近はちゃんと鍛えてますから!」
見て下さいよこの力こぶ、とか笑いながら腕まくりするも見えるのは痩せっぽちの細い腕だけ。
筋肉なんかあるわけがない。
「……ホントに鍛えてるか?」
「うぐっ」
「これ以上細くなるなら、お前んトコのトレーナーにチクるからな」
「それは勘弁して欲しいッス……」
「だったら大人しく食っておけ」
「…はぁい」
しょもしょもと落ち込んだ顔で咀嚼していくのをお冷で喉を湿らせつつ見る。
好き嫌いがないのはいいことだが、いかんせん食べなさすぎるのだコイツは。
もっと食わないとダメだと常日頃から言っているのだが、本人は聞く耳を持たない。
「……もうちょい太れよお前……」
「俺は今くらいが良いと思うんデス……」
「せめて平均体重まで増やせよ。心配するこっちの身にもなれ」
「ぜん、しょします…」
「はぁ、」
【銀色の王者】:
シルバーチャンプ。
わかりやすい。
でも毎度【金色旅程】から奢られるのには不満げ。
自分の食べる分ぐらいは自分で出しますから!
(買い食い・間食も滅多にせず、そもそも普段の食事すら…な姿。サプリメントとかよく取ってそう)
【金色旅程】:
先輩。
華奢でいて、それで何か妙に自信満々な後輩を心配している。
だって俺がちょっと掴んだだけで逃げられないしコイツ…。