匂わせ(物理)。
メディアの取材を受けることになった。
聞くにゴールデンタイムのバラエティー番組らしく、いつも行く場所を案内したり、それに伴い好きな食べ物、趣味などを聞かれる。
「じゃあ、次は休日の過ごし方について聞いていきたいと思います」
「はい」
「休日は何をされてるんですか?」
「そうですね……昔はよくトレーニングしてたんですけど、今は家で読書したり、料理を作ったりすることが多いですね」
「なるほど!ちなみに得意料理はなんですか?」
「いちおう家庭料理は何でも。幼いころから家族に仕込まれていたので…」
そんな話をしながら家に戻る。
聞くに僕の家もちょっと見たいらしい。
まぁ見られて困るもんもないし、と快諾した。
「おかえり」
「ん、ただいま」
「……」
「あぁ、言ってなかったっけ?」
「…聞いてない」
ごめんね、と謝りつつ、「実質同居人のグローリーゴアくんです」と紹介する。
意外とこの子はシャイなので撮影終わるまでは別の部屋に行っておいでと促すも、
「え?もういいんですか?」
インタビュアー役だったウマ娘さんが焦ってる?怯えてる?みたいに思った以上に早く取材を終わらせて。
「じゃあ、あ、ありがとうございました!」
「はい。こちらこそ」
そんなこんなで取材も終わり、ホッとひと息。
「グローリー、ごめんね?」
「……ん」
とりあえずお腹空いたな……とキッチンに向かおうとするが、服の裾を引っ張られる感覚があった。
振り返るとグローリーゴアが裾をつかんでいる。
「どうしたの?」と聞くと、何も言わずキツく抱き締められて…。
*
「はじめまして」
そう挨拶された瞬間から、ダイレクトに突きつけられた匂いに内心ウッと息をつめた。
「どうかしましたか?」
そしてソレをまったく感知していないと分かるキョトン顔に背中にツー…と冷や汗が垂れていく。
(…生き残れるかな、今日)
・
・
・
「なぁに?今日は随分と甘えたさんだねぇ」
「うん」
ぎゅうと、その華奢な体を抱き締めながら匂いを染み付けさせる。
『この子は僕のモノ』と示すにはコレが一番手っ取り早い。
レースの世界から退き、強者としての"鋭さ"が取れ、生来の穏やかさが戻ってきたらしく。
だから、こうしてマーキングを欠かさない。
(大抵のヤツはこうしておけば寄ってこないからね…)
クスクス笑い声を聞く。
そのそよ風のような微かにまた一層強く抱き締めれば、同じように抱き締め返されるのであった。
【戦う者】:
サンデースクラッパ。
今日も鈍い。
また家を訪ねるとシレッと【栄光を往く者】がドアを開け要件を聞きに来る家に住んでいる。
もう【栄光を往く者】との生活に慣れ過ぎて何が可笑しいのか分かっていない。
でも幸せなので…OKOK!