さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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まぁ他よりはマシってだけで…。



アンタには堕ちない

『宗教』みてぇだな、とシルバアウトレイジはその光景を見て思った。

中・高等部問わず、たくさんの生徒に囲まれているのはひとりの小柄なウマ娘。

それが誰かを知らぬ者は、この学園にはいないだろう。

チーム:アルデバランのリーダー。

日本初の凱旋門賞バ&BCクラシック制覇バ。

そしていま現在もドリームトロフィーリーグで誠意活動中…。

それが人だかりの中心であるウマ娘-シルバーバレットであった。

 

「…………」

 

実のところ。

シルバアウトレイジは件のシルバーバレットのことがあまり好きではない。

いや、嫌いとも言ってはいないが。

言うなれば…『気に食わない』が妥当なラインか。

 

「…俺はぜったい」

 

 

なのに何故、いま自分はここにいるのだろう。

まったくもって、来たくはなかった。が、

 

『アウトも行きませんか?だってあのアルデバランですよ?』

 

このトレセン学園にて、最強と呼ばれるチーム:リギルと双璧の成すチーム:アルデバラン。

海外遠征を目指しているのならここに入ることが必須だと言われている…。

そんなチームのミーティングルーム前にシルバアウトレイジはいた。

隣には、初対面から何だかんだで構ってくるウマ娘がいる。

彼女の目は爛々と、ただ輝いていた。

この目をした時の彼女は…正直言うと面倒くさい。

けれど付き合っておかないと後々もっと面倒なことになりかねないので付き合っているのだ。

 

(…俺の何がそんなにいいんだか)

 

と考えるのもつかの間。

 

「お時間です。中へ」

 

その言葉と共に小さなミーティングルームに入り込むウマ、ウマ、ウマ!

「あの人数が部屋に入り切るかね…」と思いながら壁の方へとへばりついていたシルバアウトレイジは「人が多過ぎてあぶれたとか、言い訳すりゃいいだろ」と予定通りすたこらと退散しようとした。のだが、

 

「ねぇ、キミ!」

「あ゛?」

「僕の併走の相手になってくれないかな!?」

「…はぁ、?」

 

彼女の前に現れた影がひとつ。

それは、

 

「僕はシルバーバレット。よろしくね!」

 

なんという純粋な笑顔だろうか。

もはやなんかオーラが見えるような気がする。

……しかしそれは幻覚だと自分に言い聞かせるシルバアウトレイジ。

彼女は知っている。

このウマ娘の本当の姿を。

普段はこうだが、ひとたびレースとなれば苛烈としかいいようがない本性を剥き出しにすることを。

そんな強者の誘いを断わるシルバアウトレイジではない。

【銀色の激情】は、ダテではない。

 

「…あぁ、イイぜ」

 

 

「すごいすごい!速かったね〜!!

これでメイクデビューもまだだなんて…。僕もう驚きだよ…。

ホンっっトーに!こんな凄いコがいるとは思ってなかったな〜」

「ま、まぁ、まだまだ序の口だけどな」

 

そう言うシルバアウトレイジの顔はどこか嬉しそうだ。

それもそのはず。

彼女は自分の実力を()()()()()のだから。

 

「ダービーとか、もしかすると凱旋門賞も夢じゃないないかも!」

 

…他ならぬ、あの"シルバーバレット"に。

 

「あ、ねぇ!」

「ンだよ」

「僕のチームにおいでよ!アルデバランって言うんだけど!!」

「はァ!?」

「推薦!特別推薦!リーダーは僕だから!それにキミをリギルに取られたら面倒くさそう!」

「それが本音だろ!?」

「そうとも言う〜。えへへ」

 

 

───これが、後の凱旋門賞バ【銀色の激情(シルバアウトレイジ)】がチーム:アルデバランに加入した、事の顛末。

その、プロローグである。





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。栗東寮所属。何がと言わないが堕ちている。
戦法は追込み。実は芦毛(初期は黒鹿毛っぽいところからの色抜け)。
シルバーバレットいわく「なんかチャンプに似てるね。色々と」。
シルバーバレットに群がるウマ娘たちを見て『宗教みてぇ…』と思いつつも、シルバーバレットに認められたのは嬉しかったのでヒョイヒョイついていってしまったすがた。
後に正気に戻って「ハァ!?」する。

ちな、あるウマ娘に初対面からグイグイ来られているがニブチンなので「コイツ、物好きだなぁ」くらいにしか思っていない。し、たびたび芝2000mで勝負を挑まれている。が、なかなか本気を出さないのでよくふくれ面をされている模様。


【銀の弾丸】:
シルバーバレット。今日も今日とて。
見る人が見たら宗教の教祖みたいになっている。
チーム:アルデバランのリーダー。
現在はドリームトロフィーリーグで頑張っているが、今回の一件で【銀色の激情】を見出しリーダー特権でチームに加入させた。
自分の影響力をまったく分かってないぜ…!


あるウマ娘:
【銀色の激情】のことを「アウト」と呼ぶ。
実は【銀色の激情】より一学年歳上だし、チームリギル所属。
なのに【銀色の激情】を連れて、チーム:アルデバランに赴いていたのは競争率の高いアルデバランに赴き、不合格になったところをリギルに勧誘しようとしていたから。
だが【銀色の激情】が「シルバーバレットと併走する」という類を見ない超低確率イベント(チーム:アルデバラン加入確定演出)を神引きしたのでみすみす逃がしてしまった。

みんなからは基本的に「アイ(ちゃん)」と呼ばれているらしい。が、【銀色の激情】は常にフルネーム+先輩(センパイ)で呼んでいる。
なおそのたびに呼び方を訂正させようと頑張っているとか…?
(先輩(センパイ)先輩(センパイ)と呼んで、なにが悪いんだ…? by.【銀色の激情】)
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